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終末のイストリア  作者: 狗賓
帰郷の章
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魔法と弟

 突発的思いつきで書いたもの。

 ……来週、新章突入希望。


「魔法を覚えたい?」


 俺、シグラスの目の前で、夜闇色の髪を持つ少年──アスティオがこくりと頷いた。

 一年前の大雨の日に父がつれてきたこの少年は、まだ幼いにも関わらず、中々にしっかり者だ。

 ……が、それが災いしてなのか。兄弟になってかなり経つのにも関わらず、少し他人行儀な気がする。

 まぁ、それも時々言葉に敬語が混じったりする、といった程度だが。

 そして、今日は珍しく、お願い事があると俺の部屋に来ていたのだ。

「魔法なら、いつも親父が教えてるだろ?何でまた俺に──」

 そう、アスティオのお願いとは、よりによって“魔法”関連のことだった。

 俺は称号持ちの魔導士ウィザードである父とは違い、魔法は人並みにしか使えないし、性格的にも教えるのにあまり向いてるとは思えない。

 何より、以前父がアスティオには魔法の才能がある豪語していた覚えがある。どう考えても、俺は役不足だろう。

 そう思っていたのだが……。


「……師匠は、火と光は得意だけど……それ以外は、あまりできないって言って……た」


 困った様子のアスティオは、俺の表情かおを窺いながら、ポツリポツリと呟くように答えた。……もしかして俺、変な顔になってるか?

 そう言えば、今回はなんとか敬語にならなかったようだ。……最後は少し怪しかったが。


 父──カルディア=アフロォートの持つ称号は《暁光》。夜明けの赤い空に輝く陽の光のことだ。

 その所以は、火と光の魔法を得意とするところから来ている、と人伝に聞いたことがある。

 だが、そう言われると俺は、父がそれら以外の魔法を使うところをあまり見たことがないことを思い出した。




 そもそも魔法とは。

 大気中に漂う不可視の力に流れに、願いや希望を込めた言霊を乗せることで干渉し、起こすことが出来るの奇跡ことを言う。


 大抵の人は、“基礎魔法”と呼ばれる《火・水・地・風》の四つをほんの少し使える程度だ。

 その内の一つでも突出した力──例えば蒼い火や、氷の魔法など──が使える者は、魔導協会に申請することにより、魔術士(マジシャン)を名乗れるようになるのだ。


 そしてカルディアは、その上の“上位魔法”と呼ばれる《光・闇》の内、“光”の魔法を使える。

 魔導士とは、上位魔法をどちらか片方でも(・・・・・・・・)使える者に与えられる階級なのだ。その上、称号持ちともなるとかなりの実力が伴わなければ得られないとされている。




「……ちなみに、アスティが教えてほしいのはどれだ?」

「……風、属性。……地と水は、キオナティ……姉さんに教えてもらってる、から……」

 なるほど、と俺は納得する。

 姉は母の仕事──薬師を継いだため、その仕事柄山や森に入る機会が多く、地属性の魔法に長けている。協会に申請すれば、恐らく高確率で魔術士になれるレベルだ。次いで、なにかと便利だからと水魔法も使えるようになっている。 

 一方で俺は何故か風魔法が得意だ。使い道が少ないのが、難点の残念な属性。

 とはいえあくまで“基礎魔法”の中では、といった具合なので、誰にも話した覚えがないのだが……アスティオは何で知ってるのだろうか。

 何とはなしにアスティオに聞くと、きょとんとしていた。

「……えと、師匠が、シグラス……兄さんが得意だって、言ってた、よ?」

 思わず顔を上げる。

 ……父は遺跡調査にしか興味がないと思っていたが、もしすると俺の思っている以上にちゃんと俺たちのことを見ていたのかもしれない。

「……そっか。──分かった、やろうか!」

 パッと表情を明るくさせるアスティオ、やってることは大人びていてもまだ子供らしいところもあるのだ。

 こういうところが面白くて、ついつい可愛がりたくなるのは、ご愛嬌というところだろう。



 アスティオは、俺の適当な教え方でも、あっという間に飲み込んで、驚くほど速く上達していった。

 元々、お互いに感覚派同士でその波長も合っていたからか、アスティオは風魔法が二番目・・・に得意になったのだ。ちなみに、一番得意なのは意外にも“光”属性だ。

 それに気づいた父が魔導協会に連れていったところ、アスティオはさらに驚愕の才能を発揮した。

 上位魔法の上──ほんの一握りの者しか使えない、“神術魔法”と呼ばれる《命・時・空》の属性のうち命と空が使えたのだ。


 すぐさま協会はアスティオを最年少で大魔導士マジックマスターとして認め、《星印》の称号を与えた。

 だが、父がアスティオの身の上を考慮して、協会に秘匿するように頼んだことで、世間にその名が知れ渡ることはなかったのだ。











 シグラスは、ふと夜中に目が覚めた。

 自室の窓から見える空には月がなく、満天の星空だった。

「……ずいぶん昔の夢だったな」

 彼はなぜ今さらそんな夢を見たのか……と、そこでその理由に思い至った。

(そうだ、アスティオが協会に申請に行ったあとだったか。

 ……親父が旅に連れてくようになったのは)

 先日、仲間たちと共に王都に向けて行ってしまったアスティオ

 彼の目的を考え、快く送り出したはいいが、どこか漠然とした不安が募っていく。


「アスティ……ちゃんと帰って、来いよな」


 そう呟き、シグラスは柄にもなく、星空に願いをかけるのだった。

 今回は魔法の説明回でした。

 詳しいことは、後日キャラ説明にて。

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