第31話 そして、今に至る
すみませんでしたー!
うっかりぽっかり失念してましたー!
……本当は昨日投稿しなきゃだったのに。
大変、申し訳ありませんでしたorz
イレン=サーレッシャー様へ
先日より風が強くなって参りましたが、いかが お過ごしでしょ うか。
私は未だ病を拗らせておりますゆえ、 敬愛するあなた様にお会いすることができず、誠に申し訳なく思っております。
実 は最近、部屋に籠りきりで、退 くつな日々を送っていたとこ ろを見かねた父が、自然 に囲まれた美しい別荘へ連れていってくださいました。
早く げんきになったところをあなた様に見せ ら れるよう、今は安静第一とし、しっかり休む所存であります。
なんとしてでも、次の“六花の時期”までに会 いに来てい ただけるように。
幸い、父の すぐれた専属医師たちが、 けい過は良好とまで太鼓判を押し てくださったので、あまり心配はないと思いますが……。
それでは、また会う日まで。
追伸
言葉遊びはお好きでしょうか?実は面白いものを思いつきましたので、是非。
イレミアは最初、この手紙が意図するものが分からなかった。強いて言うなら、ところどころに変な言い回しがあったり、文字に違和感を感じたぐらいだ。
ためしにアリスたちに見せても同じ反応で、二人して首をかしげるばかりだった。しかし、イレミアがもう一度追伸を読み返したときピンときた。
よく見るといくつか字と字の間の不自然な空間があり、空白の後の字を繋げていくと短い文になっていた。
そこには──“ おう敬はくろ にげられない たすけて”とあった。
イレミアはその他にも文章中よりいくつかの情報を得ていた。
*「部屋に籠りきり」→現在は監禁及び軟禁状態である。
*「自然に囲まれた美しい別荘」→場所は【大地の王】領地近く。
*「次の“六花の時期”までに会いに来て」→タイムリミットは次の冬。
*「すぐれた専属医師たち」→複数人の協力者たちが常駐している。
本当なら今すぐにでも救出に行くべきなのだが、イレミアはカリンと連絡がとれなくなってしばらくのうちにとあることを知ってしまっていた。
「すっごく古い文献にね、『人を操る魔法』ってのがあって……通常なら複雑な呪文と卓越した魔法技術、膨大な魔力があって成り立つ魔法らしいんだけど、過去に龍族がその魔法をよく使っていたとあったの」
もし、かの陛下の兄君が、今の自分が思っているような人物だったとしたら。
自分は【空の王】よりの人材であり、その手には次期【海の王】候補の娘がいる。そして、この娘は思いの外聡かったため自分の手に余るようになった。
それならいっそ魔法で操ってしまおうじゃないか。
それが出来るのは【空の王】だけで、やってもらうには多少条件があるだろう。だが、見返りとしてこの娘を差し出せば……。
そう考えている可能性は大いにあった。
が、しかし魔法に対する策はできないでいた。当時のイレミアに信頼できるのはアリスとディクシア、そして両親のみ。だが、彼らには『人を操る魔法』の呪文構成を調べることはおろか、あまり魔法に関する知識もなかった。もちろん、自分にも。
やがて、周りの遠戚や分家の者たちはカリンと仲違いしたのでは?と思い、イレン=サーレッシャー宛に縁談を持ち掛けるようになっていった。
両親はイレミアが女であることが露見することを恐れて全て断ったが、現在の状況において性別を明かすことは危険に繋がるとも充分承知していた。
そして、ある日。
「イレミア、しばらく家を出なさい。周りの連中には、異国への長期留学と言ってごまかそう」
当主である、父のその言葉。すぐさまイレミアとアリス、ディクシアは領地の外れにある小さな別荘へ移された。それから一ヶ月は別荘にて日々を過ごした。
だが、このままではなにも変わらない。変えられない。
そう思い、イレミアは一人脱走を企てた。が、しかしそれも、父には見透かされていた。突然、父からイレミア宛に短い手紙が送られてきた。ちょうどそれは屋敷をでる日の朝だった。
“もし、そちらで動くなら。フローガーの者たちをつれていくように”
「それを見たとき、私は心底父上には敵わないって思った。それでもこっそり出ようとしたらさ、案の定抜け道は塞がれてるし、二人は待ち伏せてるしで結局、二人も一緒につれていくことにした」
旅を始めてすぐは、緊張と不安で何をすればいいか分からなかった。が、彼女は調べた文献の1つに気になる項目を見つけていた。
それは【大地の王】が“龍の爪”そして、自分たち【海の王】が“龍の血”より生じたという部分。
イレミアはある時、これを自分たちも龍の血族なのでは?と解釈したのだ。
その予想が当たっていれば、この大陸のどこかに【空の王】こと龍族に匹敵する魔法使いもいるかもしれない。なぜなら、自分たちは大陸中に親戚がいる。閉鎖的な【空の王】と違い、【大地の王】もそうだ。過去に遡れば認知されてない子供も多いだろう。
ならば一人くらい、龍の血を色濃く受け継いだ者がその魔法を知っているかもしれない。もしくは解除方法も……。
イレミアたちはそんなとてつもない理想的暴論に賭けたのだ。
しかし首尾は上がらず、やがてストレスの溜まったイレミアは半ば狂ったように買い物にのめり込んでいった。──それまでまともに外に出たことがなかったのもよくなかったのかもしれない。
「そんであの日、あなたたちに会って。……それで今に至るってワケね」
話終えたイレミアは、一息吐くとキオナティから水を受け取ってこくりと口に含んだ。
「……ちょっと待つっす。それがなんでアニキと──」
「龍炎紋が龍族……つまり【空の王】と関係があるから、だね」
シフォンの言葉を遮るようにシグラスは言い切る、アリスとディクシアは黙って頷き、イレミアは答えた。
「龍炎紋は、文字通り龍の炎を象ったもの。それはすなわち、『龍の炎に焼かれるほどの何か』をしてしまったという証明でもある。最近では『【空の王】に逆らいし者』とか『罪の証明』とか言われてて……」
イレミアはキッと顔をあげてその視界にシグラス、キオナティ、アスティオを捉えた。今の今まで聞き入っていたアスティオは、その眼力にびくりと身を竦めたが、残る二人はそれが何を意味するか分かっていた。
「……分かってるよ。それの対処法をどうして俺たちが持ってるか、だろ?」
シグラスは少し憂鬱そうにため息をついていた。
……ここしばらく続く謎の説明回。
あと少しお付き合いください。これが終われば本編が動き始めます。




