第13話 アリスの困惑
忘れている方!もう一度言います!!
アリスは重度のブラコンです!!!
「まず、あなた方が何者か。名前と出身をお願いしますわ」
アリスが言うと、先に答えたのはシフォンだった。
「俺はシフォン、第五農業都市・ポピィ出身……だった。アニキと旅を始めてから二年ぐらいは経つっす」
アリスは途中の言い方に多少引っかかったもののおおむね納得した。
知り合ってすぐの人間に自分の全てを語る者はいない、いるとしたらすごい大バカかそれか──
「次はあなたですわ」
アリスは光の魔法を見た時からアスティオを警戒し続けていた。
彼女は今までにあそこまで強い光を扱う魔法使いを見たことがなかったからだ。
(少なくとも副称号を持つ魔導士のはず……この方はそれを言うかしら?)
それを話すかどうかだけでだいぶ信頼関係に差が出る。
言わなくても匂わせる程度のことをしなければ、このまま立ち去ることをさえも考えていた。
アスティオはゆっくりと口を開く。
「……僕は、アスティオ……今、17歳ということになっている、出身は不明。……カルディア師匠曰く記憶喪失だからだという……それと称号は星印の大魔導士で……」
「っ!!!??ちょちょおぉ~っとお待ちくださいましっ!!」
アリスは焦った、いくつか聞き流せない発言──とくに星印の大魔導士のところとか──もあったが、それよりそのを全て暴露したことに驚いたのだ。
アスティオの隣──シフォンは、諦めた顔になっていた。
「シフォン……でしたわね?あなたの主はいつもこのような方ですの??」
「アニキは主じゃないっすよ!でもまぁ……察してくださいっす……」
その発言にアリスは言葉を失った。
アスティオが自分の全てを語る人間の内もう一つの方……つまり、疑うことを知らない純粋な者だということが分かったのだ。
急に全身の力が抜けて、そのまま椅子の背もたれによりかかる。
(警戒してたのが、あほらしくなりましたわ……。こんな方、普通いませんもの)
だが、それならばこの者達を信頼してもいい。アリスはそう思った。
「イレミア様、この者達は平気ですわ。ディーを、任せてもきっと」
イレミアは少し悩んだ。
片や昼間のことのわだかまりも解消されてない自分との相性が悪そうな少年、もう一人は嘘をついてる様子はないがとことん経歴が怪しい男……。
アリスを疑うわけではないが、目の前の二人は怪しすぎた。でも、
(ディクシアは従者である前に大切な仲間だ。この人たちなら、助けられるというなら……)
イレミアは決心した。
「分かった、あなた方に任せましょう」
アリスが目に見えて嬉しそうに顔をほころばせた。アスティオに向きなおると先ほどと打って変わった調子で話しかける。
「私にできることがあったら言ってください。あの子のためなら協力は惜しみませんわ!」
そう鼻息荒く言い切ると、アリスはずいっとアスティオに詰め寄った。
アスティオは若干引き気味になるとシフォンに困ったような視線を送りながら小声で答える。(この時シフォンはその視線を全力でスルーしていた)
「……え、えっと。……あの人を、今すぐ助けることはできないので。……その日が来るまで看病を……」
「看病!分かりましたわ!!」
アリスは聞き終える前に隣の部屋へと駆け出して行った。
「…………」
後に取り残されたアスティオはポカンとして、そのまま5分ほど動かなかった。




