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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
墾田永年私財法 しょーり
90/189

しゃかい

「いつか、ここから出られたりしたらいいね。一緒に皆で外へ出られたら、いいね」


 切ない表情で、墾田ちゃんは希望を語った。


 そんな希望は叶わないこと、知っていた。

 知っているからこそ、夢を見たかった。


「そんなこと、僕は望まないよ。基本的に外は嫌いだし、君といられるなら満足だし」


 普段通りの微笑みで、パイはそんなことを言っていた。

 リア充を忌み嫌うあの表情で、パイはそんなことを言っていた。


「気持ち悪いわね。何を言っているの? あたしは嬉しくないし。そんなこと言われても、全然嬉しくないしっ」


 さりげなく言われたので、驚いて顔を赤らめてそう言った。


 典型的なツンデレ、といった反応を見せていた。

 だからパイはなぜだか、もっと怒る顔を見たくなっていたんだ。


「嘘、嘘は嫌い」


 それでもパイの考えをを知らず、色彩は素直にそう言った。

 彼女なりにパイを想っているつもりではあったんだが。


「嘘とか、嘘じゃ。嘘じゃないんだからっ」


 必死にそうは言うものの、その言葉を真実ではなく可愛さとして皆取っていた。


 それなのに色彩はやっぱり素直だったのだ。


「あたしはただ、色々なところにもう一度行きたいと願っただけ。ただそれだけなんだから」


 恥ずかしそうに顔を隠して、墾田ちゃんは行きたい場所の具体例を挙げだした。


 誤魔化す為に、恥じらいを隠す為に。

 行った場所や行きたい場所を、必死に説明していた。


 そして素直な人は、その言葉を全て信じていたんだ。


「ああ、そうゆうことだったんか。勘違いしちまったかも、オレが悪かったかな。ごめんなさいね」


 墾田永年私財法の得意は勝利へ繋がった。

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