表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
かんな&玉結び まほう
82/189

えーご

「所詮僕は嫌われ者のままなのです」


 悲しそうに、ミスターは色彩に言った。


「どうして? きみはすてき」


 そこに色彩は優しく声を掛けてあげる。

 その声が届かないことを知りながらも。


 どんな言葉も、ミスターの傷を癒してはあげられない。


 それに気付いていたが、色彩はそれでも優しく声を掛けた。


 いつかその声が届くと信じて。

 いつかミスターの深い傷が癒えると信じて。


「そこですよ。そちらがそんなことを仰るから、自分を嫌いな自分が嫌いになるのです」


 不機嫌そうに言って、ミスターはそこに座り込んでしまう。


 そんなミスターの気持ちは、色彩にとって理解し難いものであった。

 彼が何を思うかはわかっても、なぜそう思うのかはわからなかった。


「嫌いにならないで。どうしてなの? きみは三位という順位を貰った。喜ばないなんて、投票してくれた人にも下位の人にも失礼。素直に喜びなよ」


 必死の言葉も、ミスターの心には届いていなかった。


「わたし、悲しいよ。こんなにも愛情を注いでいるのに、それをきみは受け取ってくれない。初めて他人を大切に想った、それなのに。どうしてなのさ」


 珍しく感情を露わにし、色彩はミスターにそう言った。


 その言葉は盾を破り、ミスターの心まで届いた。

 真っ直ぐ、真っ直ぐミスターの心を打った。


「……っ! ごめん。貴方が好きな物を僕が好きになる、そうです。僕は貴方が愛する者。愛する者が愛する者は、僕も愛する。少し自信が持てたような気がします、ありがとうございます」


 顔を上げて、ミスターは嬉しそうにそう言った。


「ふふっ」


 そんな自分に驚いて、可笑しくて笑ってしまっていた。


「あははっ」


 その笑顔が嬉しくて、色彩も珍しく声をあげて笑った。


 魔法に掛かったのように、二人は笑い合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ