えーご
「ごめんなさい。英語で実施されるゲームは基本的に僕が苦手な物ばかりなもので」
キャラではなく素のトーンで、物凄く寂しそうにミスターは言った。
その理由は、問うまでもなく誰もが納得出来た。
そしてそんな彼を責めるほど、皆は非情ではなかった。
「わかった。厳しくはしたいけど、それは仕方ない」
優しくミスターに歩み寄り、色彩は優しく言ってあげた。
「外国のゲームを英語ということにして欲しいのです」
しかしミスターだって、何も用意していない訳じゃない。
ちゃんとゲームを用意はしているのだ。
「いいよ。彼の努力、皆にも協力して欲しい」
その努力はわかっているので、色彩は皆に頭を下げた。
「その気持ちは僕もわかるよ。そうして貰って、むしろありがたいかな」
天才たちにとって、コミュニケーションと言うのは何より難しいことであった。
優秀過ぎる為、話が全く合わないのだ。
そして会話に慣れることが出来ない。
だから天才は天才と出会ったときも、会話をすることが出来ないのだ。
「そうですか。ありがとデス。少しミーが改造したところもありますので、不具合はヨロデス」
ぺこりと頭を下げて、ミスターはゲームをスタートさせた。
天才は素直だ。
そして負けず嫌いだ。
本気で戦い、本気で勝利を目指す。
「文字は日本語なんだね。これもミスターくんがやったの?」
他の人の気を逸らさせよう。
そんな少し卑怯な計算も含め、パイは笑顔で問い掛けた。
「いいえ。日本語版が販売されています。ミーはそこに手を触れていませんよ」
しかしゲームの天才ミスターには、そんなこと意味がない。
パイの作戦にまんまと引っ掛かったのは、短距離走ただ一人だった。
彼はいい子だから、話をしている人がいればそちらを向く。
そしてその隙に、えげつなくもパイが粉砕した。
「結果が出ました。皆のところにも順位は表示されていますよね? ミーの回なのにミーも参加してしまい申し訳ございません。ミーを除いた上位三人を祝ってあげて下さい」
勿論一位はミスターである。
彼を除いたベストスリー。
だから一位はパイ、二位は墾田ちゃん、三位はシャープになっていた。
その三人に、皆は素直に拍手で祝う。
それに三人は、照れ臭そうな笑みで返した。
「第五回、ゲーム大会でした。付き合ってくれてありがとうございました」