りか
「お楽しみ頂けるようなゲームになっているかどうかわかりませんが」
自信無さげにしながらも、かあさんは物凄く笑顔であった。
「少々お待ち下さい。只今用意致しますね」
最初の主張でも使われた、四つの箱を持って来させる。
かあさんは、一日で三種類の種目に挑戦させた。
少し男子向けとも言えるものであったが、皆楽しんでいた。
空気砲、紙飛行機、磁石で魚釣り。
そのレベルの、誰でも出来るようなゲームばかり。
それでもかあさんは、必死に楽しませようと考えて来たものだ。
「総合の部、結果を発表致します。第一位、パイさん。第二位、短距離走さん。第三位、ミスターエックスさんでした。賞状も用意したんです」
楽しそうに結果発表をすると、箱からファイルを取り出した。
「メダルは用意出来ませんでした。申し訳御座いません」
ぺこりと謝るけれど、誰も責めたりする筈はない。
賞状なんか用意して真面目だな、それが皆の印象であった。
かあさんが渡した賞状は、画用紙に手書きで書かれた手作り感満載のものであった。
驚くべきところはそこではない。
三枚とも、もう既に名前が書かれていたのだ。
「ゲームの勝者はある意味私ではありませんか? 一位から三位まで、予想が大正解したんです! えへっ」
負けた人たちは期待もされていないと。
負けるだろうと思っていた、予想通りだと。
その言葉はそのように、敗者たちを傷付けた。
しかしかあさんの笑顔を見ていると、敗者たちもやがて癒されて行く。
傷付いていた筈が、見る見る笑顔になっていく。
「第三回、ゲーム大会でしたっ」