すーがく
「ゲーム、作ってきたよ。簡単なパズルなんだけど、どうかな? 前、簡単なの難しいって言われちゃったじゃん。だから、幼稚園生向けに作ったんだよ」
笑顔ながらも、パイはいつも通り怒りを買うようなことをわざわざ言う。
しかし誰もそれには反応しなかった。
一つは反応しても仕方がないから。もう一つは、機嫌が良かったからだ。
笑顔でパイは手作りのパズルを配った。
「本当だ、私でも出来ますよ」
今回の彼の簡単は、そこまで難易度ではなかった。
残念ながら、簡単ではなかったが……。
かあさんや色彩、玉結びなんかは楽々と完成させていった。
最初のうちは。
「どうしたの? まだ、幼稚園生向けから出られてないじゃん。むしろ難易度位置をクリア出来ていない人はやる気ないよね? 折角作ってきたのに、悲しいな」
本当に彼は、出来ない筈がないと思っていたのだ。
だから、出来ないのではなくやらないのだと判断する。
簡単さを極める為努力していたので、やって貰えなくて寂しい思いをする。
「そんな、本気で寂しそうな顔しないでよ。頑張ってはいるんだから、ごめんね」
パイの素直な表情に、玉結びはパズルを完成させようと必死であった。
どうにかもうちょっと笑顔になって貰おうと、必死であった。
だってパイの表情が素直過ぎたから。
玉結びは自分が悪い気になってしまった。
年下の男の子を苛めているような、そんな気分になってしまった。
だってパイの表情が素直過ぎたから。
「もしかして、まだ難しかったかな? 皆、頑張って」
不安そうな表情で応援をするパイは、無邪気な子供にしか見えなかった。
いつにも増してパイが無邪気だから、皆は必死に頑張らざるを得なかった。
しかし難易度が上がって来れば、頑張って解けるようなものではなかった。
「タイムアップだよ。三位までの人、発表しちゃっても大丈夫かな」
勝手に成績を公表するのは悪いと思ってか、パイは皆に一応問い掛ける。
誰も自分の順位などわかっていないが、とりあえず頷く。
一位から三位ならば、皆に知られても恥らう順位ではないから。
元々戦う為に来ているので、そんなのを恐れてはいられないから。
「じゃかじゃかじゃん。三位は、シャープちゃんだよ。ぱちぱちぱち。二位は、色彩ちゃん。そして一位は! じゃんじゃかじゃん。一位はかあさんでしたー。ぱちぱちぱちぱち」
パイは妙に上機嫌で、効果音まで可愛く付けてくれていた。
その無邪気な姿には、皆魅力を感じずにはいられない。
憎たらしいところもあるけれど、今回は可愛いと感じざるを得なかった。
「第二回、ゲーム大会でしたっ」




