こくご
「どうしてでしょう、好きな物を聞いているのに喧嘩になるのは。仲良くしましょう、皆さん」
大人っぽく微笑んで、倒置はそう言った。
「じゃ、じゃあ……。皆でゲームでもしませんか? ね、ねえ」
震える声で、何かに怯えながらもミスターは提案した。
提案自体は悪いものじゃないので、皆賛成。
ゲームは毎日それぞれが準備することになった。
「どうでしょう、かるたなんて。ぼくがやります、読み手は」
妙に大人な表情で、倒置はかるたを用意した。
そして他の人が何をする間もなく、瞬時に用意を整え終える。
勝負ということもあって、皆本気で戦っていた。
「案外燃える」
楽しそうに、色彩は言う。
「結構萌えるわね」
少し別の意味で楽しそうに、墾田ちゃんも笑っていた。
倒置の大人さで、喧嘩などは起こらず平和に終了。
ドキドキ結果発表だ。
「凄くね? 一枚取れたんだぜ」
短距離走は最早数えるまでもなかった。
しかし、本人が嬉しそうなので誰も何も言わない。
「皆様お強いのですね」
思ったよりも出来なくて、悔しい思いながらもかあさんは笑った。
天才と呼ばれた自分も、ここでは普通なんだと痛感した。
「三位まで発表します、それでは。墾田永年私財法さんですね、一位は。色彩さんですか、二位は。かんなさんと玉結びさんです、三位」
結果を皆に聞いて、倒置はそれっぽくベストスリーを発表した。
嬉しそう。悔しそう。
どちらにしても、楽しそうな表情をしていた。
「第一回、ゲーム大会でしたっ」