おんがく
「好きな物を知りたい? なら教えてあげるわよぉぉお♪」
自分から元気いっぱいにシャープは言い出した。
「知りたくありませんよ、誰も。興味ありません、あなたのことなんて」
冷たい表情で倒置は言った。
しかしシャープはめげない。
その視線にも慣れていた。
むしろ、その視線を喜んでいたとも言えるだろう。
「興味ない? そうね、皆はとうちゃんのことの方が興味あると思う」
シャープは、いいことを思い付いたというような表情でそう言った。
そんなシャープから発せられた言葉には、さすがの倒置も眉を顰める。
彼が感情を表すほどのことを、シャープは言うことが出来たのだ。
それは最高に嬉しいこと。
「とうちゃん、面白い呼び名だね。かあさんとセットって感じ」
倒置を救う為、パイは必死に助け舟を出した。
その効果は最大級。
自分のミスに気付き、シャープは項垂れる。
「とうちゃんとかあさん、夫婦ね。過酸化水素水、許さないわぁぁああ♩」
そして理不尽な怒りを歌う。
「ごめんなさい」
慌てて、悪くもないのに謝るかあさん。
不穏な空気を感じ、かあさんは強制終了術を使用することにした。
「ありがとうございます。シャープさんの好きな物が知れて、とても嬉しいです」
過酸化水素水は笑った。