えーご
「…………ぶつぶつ、ぶつぶつ」
英語代表の為、毎日部屋に来てはいる。
しかしミスターは全く参加しようとしなかった。
退屈そうに端に座り込み、ぶつぶつ何かを唱えていた。
「どうなさったのですか? 好きな物、教えたくないのでしょうか」
それに気付きかあさんは寄って行く。
そしてかあさんがミスターの元へ行くと、ずっとそこにいた色彩は去って行く。
ずっとミスターの隣にいた色彩。
かあさんが来たので、ばれないようにその場を離れた。
「そうゆう訳じゃ無いですけど」
見たかったのだ。
色彩だって、甘やかすだけじゃいけないのはわかっていた。
だからミスターが成長する姿を見ようと思った。
彼一人で対処しきれなくなったとき、助けに行こうと思っていた。
逆に言えば、そうなるまでは助けに行きまいと決意していた。
「では、ミスターエックスさんは何が好きなのですか? 教えて下さい」
それは、彼女なりの優しさである。
かあさんは、自分の行動がミスターを傷付けているだなんて夢にも思っていない。
「好きなのはティーと、それに合うスィーツです。ティータイムは一番大切なときですから」
考え考え、ミスターは答えを出した。
どうすればキャラを演じていられるか。
どうすれば自分のハートを守れるか。
必死に考えて出した答えであった。
「へえ、そうなんですか。その中でも好きな物とかはあるのですか? おすすめの紅茶とかお菓子があれば教えて欲しいです」
しかしかあさんは強敵。
探らないで欲しい。もうこれで終わりにして欲しい。
そう願うミスターの気持ちなど知らず、笑顔でそう問い掛けた。
「好みですから。別にミーが好きだからと言って、ユーも気に入る訳じゃ無いですし。はい」
なんとか答えた。
もうミスターは限界であった。
それに気付き、絶妙のタイミングで色彩が出て行く。
「もういい? 彼の好きな物、きみが知る必要ない。わたしの彼だから」
息絶える前に強制終了へと導いた。
「ありがとうございます。ミスターエックスさんの好きな物が知れて、とても嬉しいです」
過酸化水素水は笑った。