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りか
「倒置さんもパイさんも、好きな物を言う姿は素敵でした。やはり、自分の好きな物になると人は笑顔になるのですね」
柔らかい笑顔で、かあさんは微笑み掛けた。
「そうゆうかあさんはどうなの? 何が好きなのよ」
からかうような笑顔で、玉結びは問い掛けた。
最初はかあさんも驚いたような表情を見せる。
しかしすぐに、笑顔でその質問の答えを探す。
「食べ物で言えば、基本的に野菜が好きですね。趣味は植物鑑賞です」
嘘を吐く必要がない。
そう考え、かあさんは素直に答えた。
「なんか、イメージ通りって感じね。面白味がないわ」
墾田ちゃんはいつも通り、素直には言わない。
しかし、かあさんは素直に取った。
「ごめんなさい。どのような答えを返せばよかったのでしょう」
彼女の真面目さに、墾田ちゃんは戸惑ってしまう。
「ありがとうございました。私の好きな物が知れて、嬉しいですか?」