しゃかい
「一番人気は絶対社会よ」
物凄い自信で、墾田永年私財法は語り始める。
「考えるまでもなく当然ね。だって、ゲームとかで多いのは歴史。つまり社会!」
他の人も驚くレベルの自信だった。
本人が自信満々過ぎて、あまり頷く人はいない。
しかしその中で、一人大きく共感していた。
「確かにそうデスネ。歴史のゲームはよくやります」
そう答えるのは、ミスターエックスだった。
彼のその言葉を聞き、墾田永年私財法は更に自信を付けてしまう。
「そうよね! わかってるじゃないっ!」
飛び付かんばかりの勢いで、ミスターエックスに駆け寄って行く。
自信はあったが、少しくらい不安だってあったのだ。
しかし共感を得たので、語っている彼女には自信しかなかった。
「もしかしたら、ゲーム好きじゃない人もいるかもしれない。でも、旅行とか行きたいでしょ? ほら、地理が必要だね」
ゲームには共感できなかった人も、今回は結構共感できた。
こんな言い方でも、墾田永年私財法は皆の心を掴み始めていたのだ。
「それと、数学がないと買い物もできないって言ったよね? でも社会がなかったら、買い物なんて以ての外だよ」
なぜか彼女は、パイに敵対心を燃やしていた。
「税とか政治とか? それがなかったら店自体なくなるもん」
自信満々にそう言い、ドヤ顔で順番に全員を見た。
内容にも惹かれていたが、倒置なんかはその語り方に感心していた。
「世の中が成り立っているのは、このあたしのおかげなの」
それが墾田永年私財法による、最初の主張であった。