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ぎじゅつかていか
「質問質問、今度はおいらに質問かい? お子ちゃまの小さな質問くらい、いくらでも答えてあげるわ」
妙に大人な表情で、かんな&玉結びはそう言った。
「どうして二つのキャラを演じるの?」
誰もが感じているであろう疑問だった。
なぜ二つのキャラを。
何者なのか、と。
「二人分の心が欲しい、そう思ってさ。二人分の心があれば、二倍強くなれる。そう、思ってさ」
寂しそうに、玉結びは言った。
寂しそうに、淋しそうに……。
「どうして二つのキャラを演じるの?」
答えは帰って来ていた。
そう思われたが、色彩はもう一度問い掛けた。
「強くなりたかったんだ。そう言っただろっ!?」
取り乱し、かんなは叫んだ。
しかし、そのあとすぐに冷静な表情になった。
キャラが変えられたんだ。
「本心。そっか、ありがとう」
叫んだことにより、色彩は本心であると判断した。
「ごめんなさい」
取り乱した自分が恥ずかしくなった。
だから謝り、部屋を飛び出して行った。
自分の担当教科すら、かんな&玉結びは完璧でいられなかった……。