えーご ~色彩はミスターエックスに恋をした~
「くっくっく、我がお主を倖せに誘ってやろう」
人見知りを発症し続けていたミスター。
しかし、もういい加減慣れてきた。
慣れて来たから、人見知りではなく中二病を発症していた。
「わたしが、きみとっ」
誰もが目を逸らした中、色彩だけはミスターをまっすぐ見つめていた。
「え? なんか、ごめんなさい。そう言われちゃうと、ミーも照れるのデス」
戸惑い恥じるミスター。
それでも色彩は、全く恥じらう様子も見せなかった。
凛とした表情で、ミスターのことを見つめていた。
「恥ずかしがらなくていいよ? この場合、恥ずかしいのはわたしだから」
優しく微笑もう、色彩はそう努力していた。
表情は変わっていないが、彼女も恥ずかしいとは感じていたのだ。
彼女なりに照れ隠しに微笑んでいたのだ。
しかし照れ隠しの必要などない。周りからは、照れているようにも見えないのだから。
「ええぇ、それだともっとごめんなさいデス。えと、えっと」
人見知りはなんとかなってきた。いい加減色彩くらいとなら会話は出来る。
それでも、コミュ力の低さは変わらない。
異性との会話なんて、彼にはハードルが高過ぎた。
「ごめん。謝る必要はない」
それは色彩だって同じであった。
異性との自然な会話。
そんな高度な技術など持ち合わせていない。
「でも、やっ恥ずかしくなって来ちゃうね。コミュ力をあげてからじゃないと、この企画はきついよ」
諦めの表情で寂しそうにミスターは言った。
それを色彩が見逃す筈ない。
瞬時に気付いて、優しさを発動。
彼を苦しめまいと、活動開始したのだ。
「かっこいい。初めて、こんな感情」
ミスターエックスは色彩をときめかせることが出来た。