えーご
「ククク。好きに批判 するがいいのです」
そうは言うが、一番嫌だった。
ミスターは、一番この企画を嫌がっていた。
なぜなら彼は批判するのが得意じゃないから。
なぜなら彼は批判されるのが苦手だから。
「英語出来ませんよね、国語が出来なきゃ。国語が必要です、英語には」
倒置はまずそこまで言う。
まだミスターも問題ない。
まださすがに自殺を謀りはしない。
「得意おぶ英語おんりーはないのです」
「英語ステキだよ」
続けようとする倒置を色彩が遮る。
ミスターの傷付きやすさがわかるから。
色彩は倒置の言葉を遮った。
「ほんと? ありがと。スゴイ嬉しいです」
素直に喜ぶミスター。
そんな姿を見せられてしまっては、倒置も続けることが出来なかった。
彼はそこまでの鬼じゃないから……。
「今どき英語なんかいらないよ。翻訳してくれるアプリだってあるし。あたしは天才だから英語も出来るけど、なくても旅行できるんじゃない?」
しかし、彼女はそこまでの鬼であった。
容赦なくミスターにそう言うのは墾田ちゃん。
「どうして英語なんだろうねぇえ♪」
それに続いたのはシャープである。
「英語だけなんて可笑しいよぉ。ドイツ語でもいいんじゃないのぉお♩」
その一言で、ミスターはもう立ち直れないレベルに達していた。
「だめ。英語だからいい。ね? だから、自信を持とう」
こうなってしまっては、色彩の力を持ってしても不可能だ。
何か余程嬉しいことがない限り立ち直りはしない。
「どうせ、九教科の中で一番いらない教科です。必要ないんだ」
ミスターは自分の教科の非を認めることで、優秀さを証明した。