表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
ゆーしゅーさをしょーめい
31/189

すーがく

「批判したきゃどうぞ。ただ、通じる言語を使ってくれると嬉しいね」


 笑顔、笑顔だった。

 パイの表情は、笑顔そのものであった。


 無垢な瞳には、軽蔑だけが映されている。


「数字があまり多くても、理解出来なくて困るぜ。あんなん、使い道ないしさ」


 数字アレルギーを自称する短距離走がまず言う。


 しかし、パイは倒置ほど優しくなかった。

 倒置ほどの国語力ではなかった。


 倒置の場合、省略などを使って言う。

 そんなものが短距離走に通じる筈がない。

 冷たい眼差しも、彼が気付く筈がなかった。


「数学の批判じゃないよね? それ。てかさ、よく恥ずかしげもなくそんなことを言えるよね。自分のクズっぷりを、数学のせいにするのはやめてくれるかな」


 そこで終わるかと思われた。


 でも、パイはそんな奴じゃない。


 息が切れてしまっただけだ。

 大きく息を吸うと、もう一度喋り出した。


「恥すら知らないの? だったら、人間じゃないかも。目の癒しにも腹の足しにもならなそうだし、死んでみたらどうなのかな」


 このまま放っておく訳にもいかないので、かあさんが静止に入った。


 そう、思われた……。


「そのようなことを仰らないで下さい。力しか取り得のないお方なら、雑用係としてでも使えばいいではありませんか」


 かあさんのその言葉には、パイ以外の全員が驚いた。


 しかし、パイだけは驚いていなかった。


「それもそうだね。じゃあ認めよう。数学を学ぶ意味なんかないね。クズはどうせクズだし、学ばれる数学が可哀想」


 パイは自分の教科の非を認めることで、優秀さを証明した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ