こくご
「人気です、国語が一番」
まずは倒置が語り始めた。
自分が一番と主張する面々も、一応他人の意見くらいは聞く。
「まず読書好きの方です、国語を大切にしてくれるのは」
そんなことを言い出したので、皆諦めかけていた。
最後まで聞く。一応それくらいは、最早その程度だった。
「国語と体育だけだと思うんです、ジャンルがあるのは」
その言葉で、保健体育代表の少年はぴょこっと反応する。
普段だったら話を聞かない少年に、聞かせることができたんだ。
内容が届いていなくても、興味を持たせられたんだ。
「どこにでもいると思うんです、本が好きな人は。どこにでもいると思うんです、言葉が好きな人は」
微笑み訴えているが、彼は不安そうな表情を浮かべている。
一番と断言したものの、彼は自信がなかったのだ。
自分は国語が一番と考えている。しかし彼は、”バカ”の存在を知っていた。
その上、自分の意見を押し付けることを嫌ったからだ。
「それもそうですね。本が読めないのは私も辛いです」
どんどん自信をなくしていった倒置。
しかし、かあさんが共感してくれる。
そのおかげで、再び自信を取り戻したようだ。
勇気も取り戻し、またなんとか口を開く。
「言います、本は心の栄養と。ないと生きていられないんです、つまり」
それが倒置による、最初の主張であった。