おんがく
「音楽の魅力を、今日は沢山伝えちゃうよぉぉおお♪」
心から楽しそうな表情で、シャープはそう言っていた。
だからそれを見ただけで、楽しくなる子もいた。中には、そんな素直な子だっていたのだ。
しかし、素直な子ばかりではない。
「知らないよ、そんなの。音楽なんて嫌い」
相変わらず、墾田ちゃんはこんな調子である。
「皆で歌えば楽しいよぉお♩」
それは、墾田ちゃんが一番思っていることだった。
彼女は他の誰よりも歌が好きだったのだ。
だからこそ、嫌いなのであった。
「好きに使ってねぇええ♬」
カラオケ機器を数台用意してあった。
子どもたちはそれを楽しむ。
もっと優雅な人の為、シャープはヴァイオリンを弾いていた。
綺麗な音色を奏で続けていた。
「……可愛い」
墾田ちゃんの歌声を聴き、パイは呟いた。
素直な彼は、素直にそう言った。
「んなの知ってる。それに、あんたに言われるとムカつくし。あんたに言われると、……なんか嬉しい」
ずっとツンとしていたが、墾田ちゃんは楽しんでいた。
パイと一緒に……。
青春を満喫する少年少女に、シャープは楽しい時間を提供した。
「最高です、音楽」
シャープによる音楽の魅力紹介は、倒置の声で幕を閉じた。