えーご
「英語に魅力なんてわからないです。だから……その……、外国のを紹介して英語のってことにしてもいいでしょうか」
何も思い付かなかった為、ミスターはいきなり自信なさげ。
ペコペコ謝りながら言い出した。
英語どころか、日本語すら上手く喋れていない。
彼は完全に努力の人だ。
一生懸命勉強して、英語は必死に覚えてきた。そんな彼だから、今は得意の英語すら出来ないのであった。
しゅんとする彼を責める人など勿論いない。
しかし、励まそうとしてくれる人も現れなかった。
何も出来ずに沈黙が続く。
「わたし、知ってるよ。……英語の魅力、知ってるよ」
周りを気にせず、絵を描き続けていた色彩。
彼女が突然顔を上げ、そんなことを言い出した。
驚いて、皆色彩の方を向く。
「いろんな人と、繋がれるから。もっと沢山、お話出来るようになるから。だから、自信を持っていいんだよ。魅力紹介、お願い」
いつもと変わらず無表情だが、その表情はどこか優しいように感じられた。
「ありがとう。じゃ、じゃあ……えっと……。英語の魅力はそのまま、英語デス」
自信は取り戻した。
取り戻したものの、言っていることは理解不能だ。
何が言いたいのかさっぱりわからなかった。
殆んどの人は……。
「英語、好きですよね? 海外へ行けるよう、ミーがお教えします」
本当に英語の授業を行っていた。
わかりやすく、英語を教えてあげる。
楽しい授業を目指し、ミスターは頑張った。
もっと英語を好きになって貰おうと頑張った。
真面目な代表たちに、ミスターエックスは楽しい時間を提供した。
「英語、最高」
ミスターエックスによる英語の魅力紹介は、色彩の声で幕を閉じた。