りか
「どうですか? このロボット、皆様に差し上げます。誰が命令しても聞くと思います」
かあさんは、人型のロボットを差し出した。
大きさは成人男性ほど、つまりかあさんよりは大分大きかった。
そのロボットは、前日作ったものである。
パイによる数学の魅力紹介時、設計図を発見して作成したのだ。
「あっ! それ、作れたんだね。不器用だから、僕は設計図見ても作れなかったんだ。さすがかあさん、ありがとっ」
勿論、設計図の持ち主であるパイは一目でわかる。
「これ、見せて」
そんな中、色彩だけは別のものを見ていた。
かあさんが持って来た石、化石などだった。
色彩はそれが欲しくて仕方がない。
彼女は石を集めたりするのも大好きだったのだ。
「宜しいですよ? お好きにどうぞ。ただ、壊したりはしないようお気を付け下さい」
かあさんも勿論大切にしている。
見せる、触らせるまでで限界だった。
壊されては、さすがの彼女も怒るであろう。
「わかってる」
それに頷き、色彩は目を輝かせる。
「オレはまた虫と遊びたい。理科大好き」
短距離走の要望に応え、かあさんは虫かごを差し出した。
「実験を行いましょう」
かあさん本人は、様々な科学実験を披露していた。
「素敵なものをお見せしましょう。御出で下さい」
暫く自由に遊ばせると、かあさんは全員を集めた。
そして、プラネタリウムに連れ込んだ。
入ったことがばれないよう、必死に工夫しながら。
満天の星空に、皆は感動した。
ピュアでロマンチストな少年少女に、過酸化水素水は楽しい時間を提供した。
「理科最高!」
過酸化水素水による理科の魅力紹介は、短距離走の声で幕を閉じた。




