よんきょーか
「主役は君らだけじゃないよぉぉお♬」
五人が話していたとき、四人の少年少女が現れた。
歌いながら登場したのは、音楽代表の少女だった。
立て巻ロールの可愛らしい横髪を乱す。膝まで伸びる、鮮やかな金髪をふわんと揺らす。
「ミュージックボーイ、シャープだよぉお♪」
他の人を圧倒するハイテンションだった。
回るシャープが収まったとき、別の少女が口を開く。
「……主役、なりたい。わたしは、色彩」
彼女は美術代表である。
普段は無口で無表情。ピンク色の短い髪は、滑らかで綺麗なストレート。前髪は両側ピンで止められている。
なんだか不思議な雰囲気を持つ少女だった。
「オレはいつでも主役だし? 羨ましいとかないから」
少し離れた場所で、少年は戯れる姿を眺めていた。
本当は一緒に遊びたかった。だけど、それが素直に言えないでいたのだ。
元気に跳ねた茶髪も、どこかしゅんとしていた。
しかし笑顔は浮かべてはいた。彼にはそれが全てだったから。
「意地張らないで、おまえもいけばいいじゃん。おいらはかんな! 私は玉結びだよ」
そう名乗ったのは技術家庭科代表であった。二つ名前を名乗ったのは、二重人格であるからだ。いや、二つのキャラを演じているからだ。
二つを完璧に使う為に、性別は公開しないようにしているという。どちらかに偏らないよう、作業着にエプロンという斬新な服装をしている。
三角巾で隠され、髪は全く見えなかった。背は低く、声も高い。しかし、年齢を考えると男だとしても疑問はない程度だ。大人な雰囲気を持ち、同時に子供な雰囲気を醸し出している。
「オレは、短距離走だ。仲良くしろよっ」
勇気を出して近付くと、保健体育代表の少年も名乗った。
どこか照れ臭そうではあるが、馴染めていないと言う訳ではなさそうだった。
これで全教科が揃った。
どの教科が一番人気であるか、どの教科が一番優れているか。それを様々な項目で競っていくのだ。
優勝に懸けるそれぞれの想いを乗せて、大会の幕は開いた。