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おまけ

 ここまでご覧下さり、ありがとうございました。

 これはタイトルにあるようにおまけのようなものです。

 少年少女たちのその後。



 元国語代表 國枝徹


 天才的な文才を活かし、作家デビューを果たした。歳を取っても損なわれることのない、えも言われぬ美貌もまた話題となった。

 人前にその姿を現すことは極めて少なく、普段の外出すら殆んどない上、彼は写真を撮られることを嫌った。その為、目にすることが出来ただけでも幸せになるとすら言われ、ファンも数多くいたと言う。

 本に囲まれた、彼が望む静かな生活を最期まで送り、母親譲りの病弱ゆえに四十二の若さでその生に幕を閉じた。



 元数学代表 青崎智也


 ゲームが大好きだった彼は、ゲームプログラマーに就いた。健康には気を遣い、肥満防止にと有紗と共に世界中を歩き回った。製作の才能が元よりあった上、美しい景色を実際に見ているので、ゲームのグラフィックなどはかなりの好評である。

 大人になったからと言ってコミュ障が治りはせず、いつどんなときにも親しい人と共にいて、通訳を頼むような始末であった。

 大自然を駆け回るかと思えば、引き篭もってゲームに没頭。健康なような不健康なような生活を送り、七十八年の生を全うした。



 元理科代表 雨宮優唯


 人の役に立ちたい。そう願い、医療関係の資格を片っ端から取り、名医として活躍した。謙虚な態度で自ら患者と向き合う為、腕だけでなく評判となった。

 貼り付けたような表情に違いはないが、本当の自分でいられる場所があるので、苦にはなっていない様だった。常に自分を追い込んでしまう性格なので、息抜きをさせてくれる啓太の存在は大きかっただろう。

 人に対しては努力する割に、自分の健康には無頓着だった。長く生きたいと言う思いもないらしく、六十六歳で病に罹ると、辛い思いをしたくないと治療を拒み永眠した。



 元社会代表 松山有紗


 智也と同じくゲームが好きだった彼女は、歴史を主とするゲームシナリオライターとなった。地理や法律などの知識も駆使され、感動必須の名作をいくつも世に送り出した。

 無類の旅好きで、休みともなれば家にいることなど滅多になかった。一度訪れて、気に入った場所にのみ智也を連れて行ったりしている。

 危険な地にも迷わず行ってしまう為、戦地を取材に行った際、騒動に巻き込まれ三十九と言う若さでこの世を去った。



 元英語代表 江口玲鳳


 巧みな語力を生かし、通訳として働いた。と言っても仕事をすることは半年に一度もなく、彩音や両親専属の通訳であった。

 際立つ顔の良さである為、外を歩くことを嫌い、室内で過ごすことが多かった。智也の相談を受けることが度々あり、斬新なゲームの題材を提案した。そしてお礼にと新作ゲームを逸早く入手しては訓練を重ね、発売日にプレイ動画をネットに挙げ神として崇められていた。

 好きな物を食べ、好きなことだけをする日々。七十年間、ストレスなど感じることなくただ幸せに暮らした。



 元音楽代表 石川雪子


 作曲や伴奏などでも才能を発揮しながら、本職は歌手として活躍した。天才小説家の徹が書く歌詞もまた話題となった。

 歌い踊り楽器を奏で、大好きなことを仕事に出来て素直に幸せを感じていた。休みは徹に寄り添い、一日中大人しく読書に徹していることも多かった。

 大好きな徹の為に生き、徹に全てを捧げて来た。仕事も楽しかったのだが、徹がいなくては幸せはなかった。彼女が四十六のときに徹が他界し、彼の傍にいたいと自ら命を絶った。



 元美術代表 斎藤彩音


 画家の両親の名を初めのうちは借りていたが、自分の力でデザイナーとしての成功を勝ち取った。

 昼夜関係なく、閉め切った部屋の中で絵を描き続けた。描きたいものはいくらでも溢れて来る為、彼女の新作デザインは途切れることなく発表され、その度に斬新さで世を驚かせた。

 玲鳳と共に好きなことだけをする日々。ただただ幸せに、八十五年の生を全うした。



 元技術家庭科代表 櫻田聖夜


 家事全般を完璧に熟すのだが、特に料理の腕に磨きを掛けた。そしてシェフとパティシエ、二つの職業を経験し、両方でその天才的才能を発揮した。

 代々続く名門櫻田家に生まれた男として、両親が跡継ぎを望んでいることはわかっていた。職業については自由にしろと言ってくれたのだが、両親が結婚だけは譲らない。徹のことが忘れられないので、渋々養子を取り両親の元に預けた。

 徹のファンであり、徹の作品の大ファンであった。だから四十五歳のときに徹がこの世を去ったことを知り、その後を追った。



 元保健体育代表 相田啓太


 プロサッカー選手を目指したが、夢が叶う寸前となりその夢を放棄してしまう。優唯に寂しい思いをさせたくないと、スポーツトレーナーとなった。

 食事や生活など、優唯が全て管理してくれるので風邪すらひくことなく、ストレスを感じたり悩んだりと言うことも殆んどないので、物凄く健康であった。

 自分が死んでも大丈夫なようにと、優唯が知り合いの介護士に後を任せ、好みや性格などを詳しく記載し、それに従うだけで同じ生活を保てるようにしておいた。その為か、元気に百六歳までを幸せに生きた。

 本当にありがとうございました。

 これで完結となります。

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