英語
「僕のことを好意的に感じて下さっている方が大勢いらっしゃると言うことですね」
なんとかポジティブな発想を。
ミスターはそう努力していた。
しかしそんなことをしても、英語と書かれた投票用紙は増えたりしない訳で。
高順位を取れるなんて思っていないつもりだったけれど。
三位を取り続けて来たのだから、実力があるのだと勘違いしても仕方がない。
「それは嬉しいのですが、英語の魅力を伝えられていないのであれば僕は代表失格なのではないでしょうか。ここに入れるほど、天才ではないと言うことですよ」
悲しそうに笑うと、悔しそうに唇を噛んだ。
英語代表としてやって来ているのだから、優秀ではある。
日本人ではあるのだが、本場の国々よりも英語について詳しい。
普段なら使わないような言葉も、よく知っていた。
天才、なのである。
努力家、なのである。
周りがあまりにも優れ過ぎていたと言うだけで。
「誰も英語の魅力など感じる気もないのです。懸っているのは最終投票のみ、そう言うことでしょうか」
顔を引き締め直し、ミスターは強く決意した。
「色彩さん、ご投票下さり誠に有難う御座いますです。英語代表としてこれからは好いて貰えるよう、精一杯の努力を尽くそうかと思っております」
ミスターエックスはそう言って微笑んだ。