おんがく
「は~い、こんにちは。シャープ先生のご登場で~す」
自分でそんなことを言い、拍手までしてシャープは登場した。
その姿には、ミスターも感心している様子。
羨ましい、彼なりにそうも思っていた。
だってそれほどまでの強さ、彼は持っていないから。
「いつも歌とか楽器とかばかりでしょ? 作詞者や作曲者、記号なんかを今日は学ぼうか」
真面目に授業をやる気はあるらしく、教卓に着くと急に無表情。
教科書を開いて説明を始めた。
お世辞にもわかり易いとは言えないけれど、それは確かに授業であった。
「歌に乗せれば覚え易いでしょう? 曲を作って来たの」
自ら作詞作曲し、シャープは大声で歌い出す。
元々彼女が声の大きな人だった。
そんな彼女の精一杯な大声なのだから、いかに美しくとも耳を塞ぐほどであった。
ただしちゃんと聞いてみれば、理解するも容易くなる曲であった。
「覚え易いでしょ? なんて音楽の父とも呼ばれる天才、シャープ様が作った曲だからね」
確かに覚え易かったので、誰もそれをあえて否定することはしなかった。
それまでの面白くない授業に比べれば、更に楽しく感じられる曲であっただろう。
そうしてシャープは優秀さを証明した。