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ほけんたいく
元気な笑顔を浮かべる少年がいた。
いつも外で遊んでいる、元気な少年。
笑顔以外の表情を、少年は知らなかった。
そのおかげで、笑顔を配り少年は好かれてきた。
人気者の称号を手にしてきた。
悲しい笑顔を浮かべる少年がいた。
いつも外で運動するしかない、悲しい少年。
笑顔以外の表情を、少年は知らなかった。
そのおかげで、笑顔を振り撒きときに怒られた。
人気者の称号に押し潰されて。
少年は大切なものを求めていた。
命を賭して守りたいと願える、大切なものを。
そんな少年の前に、儚く散っていく花のような、とても悲しい少女が現れた。
笑顔とは違う表情を知り、同時に少年は笑顔を送った。
優しい笑顔を浮かべる少年がいた。
いつも少女の為を想う、優しい少年。
笑顔以外の表情も、少年は知っていた。
そのおかげで、笑顔を配っていることが出来たのであろう。
人気者の称号を追い求めて。