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ぎじゅつかていか
臆病な少年がいた。
少年を守る為、少年の中に少女が生まれた。
強くて冷静な少女だった。
少年の弱さを強調するかのような、少女だった。
臆病な少年がいた。
少年を守る為、少年の中にもう一人少年が生まれた。
豪快で器用な少年だった。
少年の不器用さを強調するかのような、少年だった。
臆病な少年を、守ってくれる人はいなかった。
だから少年は自分を守る為、自分の中に少年と少女を一人ずつ。
しかし本当の少年を、見つけてくれる仲間がいた。
臆病な少年がいた。
少年を守る為、一人の少年が立ち上がった。
弱くて不器用な少年だった。
閉ざされた心の鍵を開けてくれる、美しい少年だった。