びじゅつ
少女には表面上、温かい仲間がいた。
少女はそれを”絵のモデル”としか思っていなかった。
少女はそれを”人形”程度にしか思っていなかった。
そして反対に、仲間も少女を”商売道具”としか思っていなかった。
金になる作品を作り出す”人形”程度にしか思っていなかった。
お互いに、大切には思っている。
少女に絵の題材やモデルとなるものをくれるから。
少女がいれば働かなくても金が入るから。
少女には歳の近い、表面上の友人がいた。
少女はそれを”鬱陶しい虫”としか思っていなかった。
少女はそれを”友人”だなんて思っている筈がない。
そして反対に、友人も少女を”夢を拒む壁”としか思っていなかった。
消そうと思っているくらいだから”友人”だなんて思っている筈がない。
お互いに、大切になんて思っていない。
嫌がらせを見抜き嗤い通すのも面倒だから。
何をしても動じない凛とした姿が憎いから。
少女は芸術を愛していた。
少女は人に興味を持たなかった。
そんな少女は、健気な少年と出会った。
少女には大切な仲間がいた。
少女はそれを”守りたい”と心から願った。
少女はその場所を”守りたい”と星に願った。
そして反対に、仲間も少女を”守りたい”と心から願った。
同じ天才だから、少女を”守りたい”と星に願えた。
お互いに、大切に想っている。
少女に本当の温もりを教えてくれたから。
少女が笑顔や愛を教えてくれたから。