りか
少女は研究をするのが好きだった。
少女は嗤っているのが好きだった。
そうすると褒めて貰えるから。
皆に褒めて貰えるから、哀れな失敗者を罵り、常に頂点で研究を続けた。
失敗などしたことがなかった。
成功すれば褒めて貰える。
失敗すれば叱られる。
だから少女は、決して失敗しないよう勉強を重ねて慎重に実験をした。
少女は外で遊ぶのが嫌いだった。
少女は笑っているのが嫌いだった。
そうするなと言われているから。
皆がそれを拒むから、そうする子供を敗者と罵り、常に孤独の中研究を続けた。
楽しいと思い笑ったことはなかった。
仲間の為の笑顔は笑顔を招く。
自分一人の笑顔は拒絶を招く。
だから少女は、仲間と信じる人の為に作り笑顔だけを浮かべていた。
天才と呼ばれる少女は、誰も自分を仲間と思っていないことを知っていた。
それに気付いていないと思い利用しようとする、その心も知っていた。
それでも少女は仲間と信じ、望むことをして喜ばせようとした。
気付かない振りをして、自分を守っていた。
恐ろしい大人から、恐ろしい孤独から。そして何より、恐ろしい自分から。
少女は体を動かすのが好きだった。
少女は大きな声で笑うのが好きだった。
愛しい少年が教えてくれたから。
少年がそれを望むから、以前までの自分を罵り、常に隣で笑おうと努力した。
それを仲間が良く思わなくても、もう構わなかった。
少女は自分が成長したと思い込み、変わっていないことに気付かなかった。
そんな少女を、少年が守ってくれていた。
だから少女は、これからでも変わっていける。