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えーご ~勝利の為~
”カチカチカチ”
室内には、ゲーム音だけが鳴り響いていた。
今日はミスターが思いを語ってくれる筈であった。
しかし彼はそれが照れ臭くなり、一人ゲームに没頭し出してしまったのである。
心の準備。そう称して、ただゲームをしていた。
「皆を見返したいから。僕を馬鹿にした皆を、ここで勝利して見返してやりたいから」
視線はゲームに落としたまま、何気なくそう言った。
静かな室内では、彼の小声が妙に響いたように感じられた。
普段の彼とは全然異なるトーン、それも理由の一つであろう。
「英語を使えるようになって貰って、外国に旅行へ行ったりもして貰いたいんです。ミーの見た景色、皆にも見て貰いたいんです」
ゲームを終わりにして、ミスターは顔を上げる。
そして改めて、英語代表としての想いを告げた。
「そうよね。英語も使えないと、海外旅行には困るわ」
色彩がフォローをしようとするが、その前に墾田ちゃんがそう言ってあげた。
だから色彩は言おうとしていた言葉を呑んだ。
「言わせて頂きます」
服装を整え、ピシッとした声でミスターは大きく宣言。
「最後の勝者はミーです」