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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
しょーりのおもい
138/189

しゃかい ~勝利の為~

「皆とは違う。あたしは、そんなに美しい想いを持っていない」


 素直で正直な墾田ちゃんは、自分の想いを語る以外の選択肢を持っていなかった。

 自分を隠す彼女は、キャラクターを演じることなど出来なかった。


 だから優勝に掛ける想いを飾らずに言うことにしたのである。


「悔しいからよ。このあたしが負けるなんて、そんなの認めたくないから」


 しかし墾田ちゃんは、きちんと勝利を目指していた。


 誰かに認めて貰いたい、そう願う訳ではない。

 ただ、素直に勝利したいと思っていた。


「それに、社会と言う教科を皆に楽しんで欲しいの。確かに社会は分野に分かれていて、社会という単位で好きになる人は少ないかもしれない。あたしだって、他も好きだけどやっぱり歴史感が強いしさ」


 出場したくて学んだと言うのもある。

 得意だから極める為などもある。


 そうだけど、彼女は単純に社会が好きであった。


 だから優勝したいのは負けず嫌いなだけ。


 そこまで重い理由で戦ってはいない。

 つまり、楽しむことが出来るんだ。そしてそれが、反対に人気に繋がるところもあった。


「だから、全部を繋げればいいんじゃないかなって思って。精一杯楽しく出来るようなもの作って、それを皆に見せたくて。それにはやっぱり、ここかなって。優勝すれば、社会をもっと見てくれるだろうし」


 彼女があまりに素直だったから、何も言えなかった。

 作られた笑顔でなかったから、何を言うことも出来なかった。


 その素直さも彼女の魅力なのであろう。


「任せられた教科で、頂点に立つの。大好きなこの教科で、頂点に立つの。社会はどれもゲーム化出来るから、子供受けもいい筈よね」


 真面目に語っているのが照れ臭くなり、最後に少しふざけてしまう。


 それも魅力と言えるところではないだろうか。


 恥ずかしげもなく言うのではない。

 本当の想いだからこそ、なんだか恥ずかしそうに言う。


 彼女は素直と言う素晴らしい魅力を持っているので、頑張ることも出来る。

 嫌われ易い不器用さも、どんどん可愛さに変わっていく。


 絡めば絡むほど、好意的に思われるタイプ。


 つまり、表面ではないのだ。

 根が優しくていい子なのである。


「最初にも言ったけど、も一回言ったげる」


 ぺったんこな胸を張って、勝ち誇った笑顔で宣言。


「最後の勝者はあたしよ!」

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