とーひょーけっかをおとどけ
九人の元に届いたのは、第三回投票の結果であった。
人気教科の称号を夢見て、教科を背負い戦っていた九人。
この投票の結果と言うのは、どうしても恐れてしまう。
たとえそれが三度目の出来事だとしても、恐怖が和らぎはしなかった。
「今、封印を解く」
なぜか中二病台詞を吐き、震える指でミスターは封を開ける。
臆病な彼は、取り出すだけに悪戦苦闘していた。
それを心配そうに見守り、手伝わないよう色彩は自制。
「え、嘘! やった。え、やったー!」
恐る恐る結果を覗き込み、墾田ちゃんは大喜び。
一位は取れていないが、彼女は満足していた。
第二位。一度その順位を取れば、もう十分だとすら思えていた。
「やっぱり、一位だなんて幻でしたね。かんなも玉結びも私から離れて行ってしまいますし、順位は下がる一方でしょう」
キャラが崩れたことで順位が下がったのだと悟る。
そして、キャラを捨ててしまった今など……。
悲しくなり、彼は再び二人を演じ始めようとする。
それを倒置が止めた。
「あなたはぼくの奴隷のようなもの、あまり順位が高くても困ります。ご主人様を立てるのが当然でしょう? それを考えれば、彼女は正しい順位を取ったのではないでしょうか」
彼にはそんな励まししか出来なかった。
しかしそれは嬉しい言葉。
同時に、シャープにとっても嬉しい言葉。
倒置がいればいい、そう思うことが出来るようになったから。
「ユーはやはりさすがです」
「きみが三位を取りたいと言ったから、皆が三位になるようにしてくれたんだよ。一位になりたいと言えば、容易にわたしも越えられる」
互いに高順位を保つ二人は、微笑みお互いを褒め合う。
その二人を見る目にも、二パターン存在した。
微笑ましく見守る目。そして、妬ましく睨み付ける目。
「あの二人がいちゃいちゃしているせいで、ベストスリーには一席しかないようなもの。それに入れたんだから、さすがのものだよ」
大喜びする墾田ちゃんを、笑顔でパイは褒め称える。
自らの順位を確認し、彼は下がっていないことを喜んでいた。
そしてその後、墾田ちゃんの順位を確認し大喜びをしていた。
まるで自分のことかのように。
でもこれ以外の人たちは、投票結果に対して特に何も言わなかったのだ。
妥当と判断したか、酷く落ち込んでいるのか。
第三回投票結果をお届けさせて頂きました。