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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
短距離走 たいくさい
131/189

びじゅつ

「待ちに待ったお昼、友達と弁当交換」


 落ちていた紙を拾い、それに描かれていた字を色彩は読み上げる。


 短距離走手書きの文字。

 色彩でなければ読めないような文字であった。


「文字、上手だね」


 読めないほど下手な文字に対し、色彩はそう言う。

 芸術家の彼女としては魅力を感じるバランスの悪さなのだろうか。不思議には思ったが、色彩が上手と言っているので否定はしなかった。


 そしてその言葉には、短距離走は一番驚いていた。


「嘘だろ? その文字が上手なのかよ」


 自分で字の下手さはわかっていた。


 だから体育祭開催を決める報告を作ったときには、手書きの文字を諦めた。

 コンピュータも苦手なので、かあさんに作成して貰っていたのだ。


 その時間がなく已むを得ず手書きで描いたようなもの。

 それを上手と言われるとは思っていなかった。


「まあ、んなことより弁当喰おうぜ。友達と比べて交換して、楽しいだろ」


 しかし誰も弁当なんて用意していない。

 まずその前に、集合の前に朝ご飯を食べて来たばかりである。


 待ちに待ったお昼、などと言われても困るしかなかった。

 だって毎日昼は訪れる上、今は昼でないのだから。


「弁当はどこにあるんでい? おいらは用意していないぞ」


 疑問な点をかんなが問い掛けた。


「今から作るんだよ。そうすりゃ、昼にちゃんと食い始められるだろ」


 体育祭要素を失った、意味のわからない言葉であった。

 だってどう考えても、それは体育なんかではない。


「料理じゃあ家庭科じゃないの」


 なぜか自分の教科を用意してくれた。


 不思議に思いながらも玉結びは感謝。

 家庭科代表として料理の腕を振るう。


 弁当の交換なんかではなかった。


 ただただ、全員で玉結びの料理を堪能しただけである。


「最高ね。ほんと、最高に美味しいわ」


 墾田ちゃんなんて、凄い食べっぷりであった。


 満足したらしく、楽しそうに叫ぶ。


「これが運動の力なのね!」

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