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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
短距離走 たいくさい
125/189

こくご

「なんでしょう、これは」


 落ちていた紙を拾う倒置。

 そして彼は、そこに書かれていた文字に恐怖する。


『大体育祭開催! 九日間に渡り、最高の体育祭を楽しもう。九つの種目を楽しめるなんて、感激だよな』


 どう考えても、犯人は短距離走であった。


「いきなり走らせはしない。皆、楽しみは盛り上がってきた頃がいいだろ? ってな訳だ。まずダンスと行こうぜ」


 眩し過ぎる笑顔で、短距離走は叫ぶ。


 嫌がる皆をヤル気にさせるほどの笑顔で。

 屈託のない、心から楽しもうとしているような素直な笑顔で。


「ダンスなら出来ると思うよぉぉお♫」


 それは音楽の範疇だ。とでも言わんばかりに、シャープは叫ぶほどの声量で美しい歌声を届けた。

 そして得意のダンスを披露し出す。


 しかしシャープが躍るダンスは、短距離走がやって貰いたいダンスとは違った。


 優雅で美しくて、かなり上品なダンス。


 汗掻いて炎天下の下踊るダンスではない。

 激しく踊るようなものではない。


 短距離走の求めるカッコ良さではなかった。

 美しい、美しい踊りである。


「ぼくも出来ると思います、踊りでしたら」


 シャープのダンスを見て、倒置も踊り出す。


 彼のものは、踊りと言うよりも舞いと言った方が正しいようなもの。

 これも勿論短距離走の求めているダンスとは違う。


 優雅で美しいものであった。


「ダンスを踊ればいいの? なら簡単じゃない」


 墾田ちゃんの言葉で、皆思い思いに得意の踊りを披露する。


 かあさんは短距離走が求めているような、激しい踊りを。

 墾田ちゃんは、倒置の隣で美しく舞いを。

 ミスターは舞踏会の経験を活かしてシャープと共に踊りを。

 色彩はただ不思議な動きを。

 かんながラッパーのようなダンスとも言えない動きを。


 そして、提案者の短距離走が着いて行けなくなっていた。

 何も出来ず、パイはただ立ち尽くしていた。


「踊り、教えてやるよ」


 ニッと笑い、短距離走はパイの特訓に入る。


 彼の一生懸命さは伝わったから、パイはそれに付き合ってあげることにする。

 ない体力で、短距離走の言う通りに力の限り踊る。


 出来るようになる訳ではないパイだけれど、一生懸命なのは伝わった。

 普段ならなぜできないのかとイラつく短距離走。


 でもパイが頑張っているので、一生懸命教えた。


 結局パイのスキルは殆んど変わらなかったが、二人で一生懸命練習出来た。


 数学代表と保健体育代表。

 中々共になることのない二人で。


「これが運動の力だぜ」

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