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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
倒置 えんぎ
122/189

びじゅつ

「僕を見て。皆、僕を見て」


 微笑んで、色彩は両手を広げる。


 彼女は必死の演技のつもりだった。

 それでも表情を変えることが出来ず、普段通りの姿との大きな違いは見られなかった。


「ほら、こんなにも醜いよ。僕のように醜き存在、他にいるだろうか。皆、僕を見て元気を取り戻して」


 キャラクターとしても、本人と大きな違いはない。


 無表情である為、演技に向いていると思われていた色彩。

 けれど普段の無表情は演技でないので、かなり演技には不向きなのであった。


 努力しても、表情の変え方なんて知らないのだから。


 表情を作ることが出来なかったんだ。


 ここに来て、笑顔と言うものを知ることが出来た。

 知りはしても、それを意図的に作れるまでには至っていない。


「ネガティブな考えは捨てて良い。そんなにも美しいのだから、笑うと良い。僕とは違うのだから」


 色彩の微妙な演技に、どう対応していいものか戸惑った。


 確かに色彩と離れていると言えば離れている。

 それでも普段の色彩との違いが見当たらなかったのだから。


「いいえ。貴女は美しい。貴女ほど美しいものはいないでしょう」


 色彩のそんな言葉を聞いていられなかった。

 だから色彩は、呟くように言う。


「ありがとう」


 その言葉が欲しかっただけ。


 その言葉が欲しかっただけなのだ。

 ミスターに言って貰い、満足そうに色彩は頭を下げる。


「ありがとうございました」

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