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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
倒置 えんぎ
121/189

おんがく

「お城の外には何があるの? ねえ、倒置。わたくし、お城の外に出てみたいわ。共に来ては貰えないかしら」


 シャープは初めから九日に一度の自分の回を楽しみにして、この企画を提案していたのだ。


 指名されてしまい、倒置は少し驚く。

 しかしキャラ整理はされていなくても、咄嗟で演じられるのが彼だ。


「姫、落ち着いて下さい。城の外には悪魔が潜んでおります。出るのは危険と、何度言えばわかって下さるのです? いくら姫のお願いと言えども、それだけは無理にございます」


 その設定に合わせて、優しく倒置は説得するように言う。

 それだけでも、もうシャープは満足。キャラクターだって失ってしまいそうだった。


 だけど少し欲張って見たかったんだ。


 大好きな倒置に、姫と呼ばれるのが嬉しくて。

 もう少しだけ、その幸せに浸っていたいから。


 必死に喜びを隠し、お淑やかに姫らしく微笑んでいた。


「ざけんなよ! てめぇ、なめてんのかぁ!?」


「っせぇ! ここはよぅ、おめぇみてぇな奴が来ていい場所じゃねぇんだよ」


 少し離れたところで、墾田ちゃんとパイが息ピッタリにその演技をする。

 二人とも演技力は高いのだけれど、あまりにも演じるキャラクターを似合わな過ぎた。


 完璧にそれらしい行動を取ってはいたが、かなりの違和感を生んでいる。


「ほら、ご覧下さい。あのような方々が溢れている場所、連れ出せる筈がないではありませんか。もうそのようなこと仰ってはいけませんよ」


 倒置の言葉にシャープは小さく頷く。

 そして本人へのサービスと言わんばかりに、倒置はシャープの頭を撫でてあげた。


 彼の思惑通り、シャープの姫キャラは崩れていく。


 そこまでして貰って、シャープは満足であった。


 本当は、倒置を無理やり王子にしようとも考えていた。

 それでも彼女はそこまで欲張ることが出来ない人だから。


 心から幸せそうに、最高の笑顔で言う。


「ありがとうございました」

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