りか
「出来るとは思いませんが、頑張りたいと思います」
無垢な笑顔でかあさんは宣言。
そして、表情を明らかに暗くした。
きっとそれは、演技の始まりを表す変化であったのだろう。
「永遠の命なんて、必要ありません。永遠の愛なんて、存在しません。失うからこそ美しいのだと、永遠を手にすると必ず気付きます」
パイを説得するような言葉。
パイを嘲笑うような言葉。
だけど、パイも強かった。
なぜなら、これは彼ではなく彼のキャラクターだから。
自分が傷付かないよう壁があるので、強くなれた。
「それは愛の言葉、なんだよね」
笑顔でかあさんに言う。
その予想外の強さには、かあさんも驚く。
その程度で、キャラを崩したりなどはしないが。
「そのようなものなのかもしれません。一時的な感情に流されるのも、嫌いではありませんし」
微笑んだかあさんは、パイに寄り添い体重を預ける。
そこまでの行動をされると、キャラクターとは言えない。
パイは戸惑い、ついかあさんを突き飛ばしてしまう。
「胸にと仰られていたから、素直な気持ちで行動に出たのです。この仕打ちはあんまりではありませんか」
ロリボではある。それでもかあさんは、精一杯色っぽい声を出そうとする。
女性らしく、誘惑をしようとしていた。
そしてその演技も大したものであり。
「ご、ごめん」
演技力は高かったけれど、ロリボは変わらない。
魅力を感じたと言うより、パイは萌えていた。
しかしそれを隠して、素の戸惑いすらも隠す演じ方を選ぶ。
「これ、どゆことかわかんね」
欠伸をして、短距離走はそんなことを言っている。
無防備な姿を見せられたかあさんは、短距離走に詰め寄る。
そして最終的には、演技を忘れて失格。
「ありがとうございました」