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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
倒置 えんぎ
116/189

こくご

「……」


 何かを言おうとするも、倒置は口を閉ざしてしまう。

 そしてそれを言う気などないようなので、シャープは喋り出す。


 また、新しい企画が思い付いたと言うのである。


「毎日それぞれシチュ考えて、自分が望む結末へ誘う。どうかな? キャラを演じる力、頭の回転の速さが何より大事。その人を測れて素晴らしいと思わないかな」


 そこまで音楽代表に適した企画とも思えなかった。

 だから卑怯な手ではないと判断し、皆は同意する。


 翌日からで良いと言うが、倒置はすぐに始めて見せると言う。


 国語代表として、時間を貰うなんて出来なかったから。

 国語代表として、実力を見せつけてやろうと思ったから。


「殺して。誰か、誰か狂って行く僕を殺して」


 その瞬間からストーリーは始まっていたようで、苦しみながら倒置は震える手を伸ばした。


 床に倒れ込み、悔しそうな表情を浮かべる。

 彼の瞳に映るのは、憎しみと恐怖だけであった。


「少年、そのようなところで何をする? なぜ己の命を絶ちたいと願うか」


 倒置のことを愛してはいるが、敵は敵。


 彼の物語を彼の望まないようにしようと、シャープは可笑しなキャラクターを演じ始める。

 脚本が元から作られていないので、どのようなことを言われても倒置が戸惑うことはないのに。


「貴方は神に仕える者ですよね? ならば、罪を犯し汚れた僕を殺して」


 設定を合わせる必要などない。

 むしろ、設定を自分で付け足すことにより倒置のキャラクターを崩すのが目的。


 そう考え、他の人も参加し始めようとする。


 ストーリーを繋げることなど考えない。

 ただ、倒置の演技を完璧のものではなくす為に。


「ばっかもーん! 私は神に使えるものではない、神そのものだ! なんと失礼な」


 コメディーに走った墾田ちゃんのキャラクターは、確かに世界観を台無しにしてしまうようなもの。

 それでも倒置は戸惑う表情など見せず、軌道修正に入る。


「神様ですか。それでは、尚更僕は貴方に殺されたい。貴方自身のその手を汚し、僕の命を奪って」


 キャラクターを演じている倒置は、恥など考えなかった。

 躊躇うことなく、狂った笑顔で奇声を上げて跪く。


 それには、さすがの墾田ちゃんも恐れ戦くしかなくて。


「罪を犯したならば、それを償わなければいけない。死へと逃げられると思うな」


 そんな中、冷たく色彩が言い放った。

 その言葉に、やっと倒置が戸惑いの表情を見せる。


「ありがとうございました」

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