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あなたはどのきょーかがすき?  作者: ひなた
パイ おわり
112/189

おんがく

「そろそろ、終わりも近いって話はしているね? それだったら、やっぱ結婚でエンドがいいよ」


 突然、訳のわからない希望をシャープは言い出した。


 それに危機感を感じ、倒置は予め遠くへと避難している。

 そんなこと、シャープには関係ないのだが。


 倒置を捕まえシャープは語り出そうとする。

 しかしその邪魔をする、可愛らしい少女がいた。


「け、結婚。けっこ、ここけっこ」


 墾田ちゃんである。

 まるでにわとりのようにそう言って、顔を赤く染めている。


 それがあまりにも可愛らしくて、パイはからかおうとする。

 だけど彼の言葉から零れたのは、素直な気持ち。


 あまりにも墾田ちゃんが可愛くて、素直になるしかなかったのだ。


「僕と、結婚してくれませんか?」


 ストレート過ぎるプロポーズであった。

 だからこそ、墾田ちゃんは素直になれない。


 二人とも素直になれる日は遠い。


 だって今のこれが、この二人の恋の形だから。


「ふざけないでよ。あたしは、天皇としか結婚しない主義なの。それに、将軍様に内緒で結婚とかしたら大変だわ」


 混乱している為、何時代の設定で言っているのか理解不能。

 それでも一つだけ、パイには確かにわかることがあった。


「ありがとう。君にそう言って貰えて嬉しいよ。まだ歳的に結婚は無理だけど、婚約ってことだよね」


 墾田ちゃんのことをわかり切ったパイだからこそ言える答え。

 その答えは、パイのことを信じ切っているからこそ言える答えであった。


「意味わかんない! 勘違いしないでよ! 言っとくけど、あたし全然あんたなんか嫌いだし! 妄想とか気持ち悪い、ストーカーでも目指すのかしら」


 冷たい眼差しは、温かさを隠し切れていなかった。

 だからこそパイは、いつも通りに戻る。


 いつも通りの対応に戻すしかない。


「失礼だね。君のストーカーなんて、誰もする訳ないじゃん」


 二人が可愛く言い合っているので、シャープが叫ぶ。


「うっさいガキども! 今回はこの私が倒置様様といちゃつく回の予定だったのにっ!」


 それは、好感度なんか気にしない叫び。

 つまり、彼女の心の叫び。


「そんな回訪れませんよ、永遠に」


 そう言い放った倒置は、シャープの頭を優しく撫でてあげた。

 それだけで、シャープは幸せになれて満足出来て。


 何を怒っていたのかも忘れてしまった。


 倒置の手の魔術を、パイは心から感心。


 そして笑顔で言った。


「さすがだね」

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