とーひょーけっかをおとどけ
九人の元に届いたのは、第二回投票の結果であった。
人気教科の称号を夢見て、教科を背負い戦っていた九人。
この投票の結果と言うのは、どうしても恐れてしまう。
たとえそれが二度目の出来事だとしても、恐怖が和らぎはしなかった。
「それじゃ、開けるわよっ!」
元気に奪い取り、墾田ちゃんは封を破り捨てる。
いつも通りを装い、気にしていない振りはしている。
それでも彼女の手は震えていた。
『投票結果をお届けします』
その文字に、怯えざるを得なかった。
「……やったぁ」
前回より順位が上がったことに、墾田ちゃんは喜びを隠せなかった。
ベストスリーに入れてはいないのだが、彼女は素直に喜んでいた。
一位を目指す。絶対に一位を取る。
口ではそう言っているものの、彼女は自信がなかった。
むしろずっと自分を最下位だと思っているくらい。
そんな自分を励ます為の言葉とも捉えられる。
「ありがとやったー! 一位だぜ」
結果を覗き込み、かんなは喜びの声を上げた。
確かに彼は本気で喜んでいた。
だって嬉しいから。だって自分でも予想しない結果だったから。
「嘘だろ、マジか」
元気いっぱいに見た短距離走が、絶望の声を上げる。
それでも彼は、表情だけは笑い続けていた。
「残念です」
悲しそうにかあさんは呟く。
彼女は気に入らなかった。
愛想を振り撒いているのにこの結果が返ってきたことが気に入らなかった。
同時に、この結果をなんと言われるか。
そんな恐怖に駆られる。
いつの間にか、彼女の微笑む瞳から涙が溢れていた。
「変わらず三位をキープ、嬉しいです。このくらいの順位、これからも保っていきたいところですね」
全く不満気な表情など見せず、ミスターは嬉しそうに微笑んだ。
それが彼の本心。
一位になりたいとは思う。それでも彼は臆病で。
一位になるのが怖かった。
一位になってしまえば、もう落ちることしかないから。
だから三位を保つのが、彼としても嬉しかった。
でもこれ以外の人たちは、投票結果に対して特に何も言わなかったのだ。
妥当と判断したか、酷く落ち込んでいるのか。
第二回投票結果をお届けしたので、第三回投票を開催させて貰います。