ぎじゅつかていか
「男だったら、技術が一番に決まってるだろ。女なら家庭科が一番に決まっているよ」
かんなと玉結びが、まだ粘土を弄りながらだが語り出す。
粘土を弄っているのはかんなという設定だ。
しかし、キャラは二つあっても体は二つない。仕方なく、玉結びの行動は諦めているのだ。
「大工に憧れる男も多い筈だ。木を切ったり釘を打ったり、それは技術の魅力だよな」
まずは、かんなの方から主張を始めるようだ。
だから粘土は手に持ち続けている。
「楽しいだろ? 女子だってカッコいいと思うだろ? そうに決まってる」
最初は語り掛けているようだったが、頷く子が少なく不安を覚えた。
そして最終的に、断定するような言葉となってしまったのだ。
「全然カッコ良くなんてない。下っ端感しか感じないね」
嘲笑う表情で、墾田ちゃんはそう言った。
かんなに冷たい眼差しを向けている。なぜなら彼女の言葉は、彼女の本当の気持ちでしかなかったからだ。
心から軽蔑しているのだ。
力仕事をしている男のことは、奴隷としか見ていないのであった。
そして墾田ちゃんは、働かされている”可哀想な奴隷”を救おうとも思わない。
心から軽蔑するのみだった。
「でも確かに、下っ端感はあるよね。憧れる人なんているもんなのかな」
パイも、墾田ちゃんに共感しているようだ。
二人とも悪気はない。
ただ心の奥底から軽蔑し、差別的な感情を持っているだけなのだ。
「嘘だろ? カッコいいと思うんだけどなぁ」
しかしかんなはめげたりしなかった。
強がっている訳ではない。
普通に、何も気にしていないのだ。
「料理が出来るって、結構重要だと思うのよ。今時、男子だって料理くらいは出来ないとね」
かんなの説明は、主張は限界であった。
だから、無理矢理玉結びの主張に移る。
「裁縫能力だって欲しいじゃん。マフラーくらい手作りでプレゼントしないと」
それには誰も特に頷いている様子はない。
唯一頷いているのは、倒置くらいのものだ。
彼が優しいだけ、そうゆうことだ。
諦めて、もうまとめに入る。
「技術がないと家も何も作れない。つまり人が生きる為に必要だ。家庭科がないと料理も何も作れない。つまり人が生きる為に必要なの」
それがかんなと玉結びによる、最初の主張であった。