悲劇
初めましてふくなーかと言います。
ノクタではお世話になっております、
強烈な夢を見たのでそれを元に小説へと書き上げてみました。
ノクタの方をやれと?
仰る通りですOTL
でも頭に夢の内容がちらついて仕方が無い、もどかしい感覚・・・
ノクタもノクタで仕上げますので今しばらくお待ちください。
この小説先が決まってません、長くなるかもしれないし短くなるかもしれない。どちらにしても上手くつなぎ合わせられたらと思っております
「・・・・・」
薄暗い寝室のドアを開ける人影は幼い彼女だ。
「眠れないのかい?一緒に寝ようか?」
布団を捲り入るように促すと彼女は入ってきた、読んでいた医学書を閉じ積み重なった絵本を取り出す・・・
「今日は何のお話がいい?」
「・・・・・」
何も言わず絵本を出す彼女の年齢は今年で23だ・・・明朗な性格も知恵も全て無くなった、彼女の家族と共に。
只彼女と彼女の家族は実家に顔を出しに行くだけだったのに不運は起きた。彼女を除く事故に巻き込まれた人が全て死亡した悲惨すぎる事故だった。
事故を起こした原因は相手側の居眠り運転・・・奇跡的、本当に後5秒でも救出が遅れていたら炎上に巻き込まれて彼女も死んでいただろう。
「昔々・・・有る所におじいさんとおばあさんがいました。」
俺は彼女とお父さん達が好きだった、恋人として初めて顔を見せた時・・・・俺の緊張を解してくれようとお父さんが自ら料理を作ってくれ何でも相談してくれと電話番号も交換したのをまだ覚えている。
訃報が届いた時俺が居たのは仕事場だった・・・家族団欒で実家に行くと俺に電話をくれた、お気をつけてと言った・・・充分気をつけると返してくれたのに・・・信じたくない事が胸に去来して泣き叫んだ・・・
「一本の竹が光り輝いてました、おじいさんは竹に近づいていきます。」
奇跡的に助かった彼女の事を聞き俺は直ぐに向かうと言った、訃報の旨を上司に相談すると病院まで送ってもらった。
「一週間有給にしておくから連絡だけは何時でも取れるようにしてくれ。」
「多忙の中にも関わらずご迷惑をおかけして申し訳有りません・・・」
「気に止むな・・・しっかり受け入れるんだ、彼女が生きていただけでも幸いじゃないかしっかり支えてやれ、それが今の仕事だ。」
「はい、その覚悟です。」
「誰が悪いとかじゃないんだ事故を起こした側も被害を受けた側も・・・それは君も分かっているだろう?」
「はい何処まで力になれるか分かりませんが・・・出来る限り傍にいたいと思います。」
「うん、じゃあまたな霧枝君」
そう言って会社に戻る上司を見送った。
「すいません・・・葛城怜奈の病室は何処でしょうか?」
じろりと訝しげに見る女性は返してきた。
「失礼ですがどう言ったご関係ですか?証明証をご提示お願いします。」
恐らく報道関係者が入らぬ様にと配慮したのだろう。上司が一応持っていけと社員証を渡してくれたのを感謝した。
「失礼しました、こちらでよろしいですか?」
社員証を見せると電話を取り俺に言った。
「お借りしてもよろしいですか?」
「勿論です。」
「ではお掛けになられて下さい」
重体では無いと聞いたがそれでも不安に駆られた、もしも身体に後遺症が残ったらと考えそれでも俺は受け止めると何度も自分を言い聞かせる。
「・・・・様・・・・霧崎様」
「はい!」
「お待たせ致しました、病室は4階の402号室です。申し訳有りません報道規制の為のご確認をさせて頂きました。」
「いえいえ・・・こちらこそお手を煩わして申し訳有りません有難う御座います。」
深々と頭を下げて病室に向かった・・・
「402・・・402・・・あった・・・」
息を整えてドアをノックする・・・・返事が無い。
「怜奈?・・・居るのかい?開けるよ?」
ゆっくりとドアを開けるとベッドに腰掛ける怜奈の姿が見えた、病衣を着て腕や首に包帯が痛々しく巻かれている・・・
「怜奈?大丈夫かい?・・・・」
「・・・・・」
何も言ってくれなかった・・・泣く事も無い・・・ただ静寂と絶望に乾いた虚ろな目が事故の悲惨さを物語っていた。
「怜奈・・・・何があったんだい?・・・・教えてくれ・・・・」
怜奈はただ外を見ている・・・ただ・・・ただ外を眺めているこの場に俺が居ないかの様に・・・・
「失礼するよ」
声のする方を見る、白衣を着た医者が立っている。
「初めまして・・・主治医の入江と言います、君は葛城さんの恋人?彼女の診断で話したい事が有るんだ良いかな?」
「はい、大丈夫です・・・怜奈また後で来るよ。」
「じゃあ行こうか、」
話を聞く為に入江さんに付いて行く・・・・病衣の下に重い怪我でも負ったのかそれとも別の問題でも・・・・不安は止めど無く溢れてくる・・・
「さて話す前に関係を改めて聞きたい、彼女と結婚するつもりで居るのかい?」
心を突く言葉に俺は負けじと答えた。
「はい、そのつもりです例え姿形が変わってもそれは変わりません」
「うん・・・本来なら親戚遺族に言うべき事なんだが誰も来ない・・・いや来たがらないんだ。」
言っている意味が分からない・・・・親戚は誰も来ないってどういう事だ?
「あの・・・それは一体・・・」
「ああ君は気にしなくていいええと・・・」
「霧崎由貴人といいます」
「ああすまない霧崎君、今の病状だけを言うね。」
「はい・・・」
「身体の方の怪我は命に関わる事は無い、本当に奇跡だと言いようがない程軽傷だ・・・ただ心の方が深刻な傷を負っている。」
「というと・・・」
「精神的ショックによる失語症・・・ええと一般的には失語症は脳の一部の血管が破れて言葉を司る部分に障害が出るんだけど・・・」
「そんなに重症なんですか!?怜奈は大丈夫なんですよね!?」
思わず椅子から腰を浮かせて食って掛かった・・・しまったと思い改めて座る。
「すいません・・・お恥ずかしい所をお見せしてしまって・・・」
「いや大丈夫だよ脳って話が出たらびっくりするよ・・・それで彼女の場合一般的な失語症ではないんだ・・・自分の容量以上の恐怖を感じた場合のみ陥る可能性が有る病気だ。」
ぞくりと背筋に水を滴らせた様な感覚が襲う・・・耐え難い衝撃と悲鳴、何かが爆発する音の中で彼女は居たのだろう。
「色々と大変だと思う・・・でも親戚が来ない以上君に話すしか無いんだ、しっかり彼女を支えてやってくれ・・・病院は身体の怪我は直ぐに治せるが心の傷を癒すには長い長い年月が要る、退院は3日で出来るだろう・・・身元の引き取りは君がするかい?」
怜奈が生きていて良かった・・・でも俺に今の怜奈を支えられるかは自信が無かった・・・・だけど血を分けた親戚が来ないならばと決意する。
「はい私が引き取ります、そして支えてきっと心の傷を癒してみせます。」
「うんやっぱり君に話して正解だったね明日住んでいる市役所に行って婚姻届けを持ってきなさい、早く来ないと金の亡者達が来るからなるべく早くね」
来たがらない親戚・・・ほとぼりが冷めてから何も出来ない怜奈に押し寄せて全てを奪い去るつもりだろう・・・怜奈が住んでいた思い出が詰まっている家も全て・・・
「分かりました、早急に電車で戻り明日中に婚姻届けを持って参ります。」
「うん、それとこの話は内密にねバレたら私の立場が危うい」
にこりと笑う医者にお礼を行って部屋を出た、最後にもう一度怜奈の病室を訪れる・・・
「怜奈・・・必ず君を守る・・・だから少し待っていてね・・・」
「・・・・」
何も返してくれない・・・それでも怜奈を守る為に俺は病院を出た、日はまだ高い・・・運良く新幹線が空いていれば何とか間に合う・・・タクシーを拾って運転手に言う。
「出来る限り早く新幹線に乗れる駅まで!」
タクシーの窓から怜奈が居る病室が見える・・・そこにはただ虚空を見る怜奈が寂しげに立っていた。
如何でしょうか?この時点では幼児退行の兆しはまだ出ていません・・・
というよりまだなんにも考えてない・・・
んーどうしよう・・・




