【3日目】“アクセスコード”が意味するもの
こんにちは、霧野ゆうです!
第3話ではいよいよ物語の“枠組み”が見え始めてきました。アクセスコードが何を意味するのか、そして「観測される」とはどういうことなのか……。
ユイの正体、そして副委員長・坂元アイの言動にも注目していただけたら嬉しいです!
——チカッ
コンビニの照明が一瞬だけ明滅し、音もなく元に戻った。
でもその瞬間、ハルキの心臓は強く跳ねた。
静かなはずの空間に、空気の密度が変わったような、そんな感覚。
「……戻れないって、どういう意味だよ?」
震える声で問いかけると、ユイは少し視線を落として言った。
「アクセスコードを“見た”人間は、対象になるの。
一度でも読み取られたら、“観測”される側になるってこと」
「は? なんだそれ、意味がわからな——」
「……わからないほうが、よかったんだよ」
彼女の言葉は、まるで自分自身に言い聞かせているようだった。
ユイは制服のポケットから小さな紙片を取り出した。
それは、ハルキのレシートとそっくり……でも、印字されているコードは違った。
『アクセスコード:K3–1214』
『ステータス:認識済』
『割当:観測端末004』
「これ……お前の?」
うなずくユイの横顔は、ほんの少し、怯えているように見えた。
「最初は、わたしも“ただのレシート”だと思った。でも——」
彼女の言葉が途切れたとき、コンビニの奥からカツン、カツンと誰かの足音が響いた。
「ハルキくん……?」
見覚えのある声。振り向くと、そこにはクラスの副委員長・坂元アイがいた。
けれど——その目は笑っていなかった。
「今、誰と話してたの?」
ハルキが一歩下がる。ユイの姿を隠すように立つと、アイは少し首をかしげた。
「変なの。今、そこに誰もいなかったよ?」
「は?」
「ハルキくん、大丈夫? 誰かと話してるみたいだったけど……ねえ、何か“見ちゃった”の?」
その瞬間、ユイがハルキの腕を掴み、走り出した。
「だめ! 彼女は“監視者”かもしれない!」
「ちょ、ちょっと待って、ユイ!? 監視者って——」
夕陽が沈みかけた空の下、ハルキは初めて感じた。
“この世界のルール”が、自分の知らないところで動いていることを。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
今回は少しだけ、SFや陰謀めいた雰囲気を強めてみました。
“青春”の中に潜む不穏な空気と、「本当に信じていいのは誰か?」というテーマが、これからじわじわと効いてきます。
365話、まだまだ始まったばかり。
一緒にこの謎を少しずつほどいていきましょう!