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純然のラベンダー(ボーリング/ハンモック/ラベンダー)

 うちの物置きを漁ってたら誰かが描いた宝の地図があってね。地図にあった原っぱにポツンとあった大木の下に描かれた×マークに従って、親戚の建築関係のおじさんが仕事でやってるボーリング調査みたいに穴を掘っていったら、なんと宝箱があるじゃないか。


 大喜びで箱を開けてみたらね、ハンモックが入っていたから、大木の枝に吊るして穴掘りに疲れた体を横たえて眠ったら、夢を見たんだ。


 その夢の中に、むらさきの長い髪の女の子がいたのさ。ふんわりとフェーブがかかった、甘い香りのする女の子! その子と原っぱで四つ葉のクローバーを探したり、花冠の作り方を教えてもらったり、木登りしたりして、もう飛びつくように遊んだ。木の上のてっぺんで二人、草笛を吹きながら語った事、ひとつひとつを今も忘れていない。


 木の上から暮れる夕日を眺めながら、その子は言った。


「夜が来る。そろそろあなたは帰らなくちゃいけないわ。ここは人間がずっといるような場所じゃないから」


 髪よりも深い紫の瞳には、間違いなく寂しさが宿っていた。いいや、うぬぼれじゃないね。


「もう、会えないの?」

「あなたがこの花の種を元の場所に植えて、増やして、原っぱいっぱいにしてくれたら。私がそっちの世界に顔を出す足がかりになるかもしれないわ」


 好きよ。手を握られて、ほっぺに柔らかい唇の感触がした時、僕は草笛を吹くのを失敗して、マヌケな音を出しながら木から落っこちて目が覚めた。


 ハンモックから落っこちてもしっかり握っていた手の中の小さな袋には、あの子みたいな甘い香りのする種がいくつも詰まっていた。もちろんあの子の言う通り、花を植えて咲かせて、挿し木で増やしたり、あんまり雨の降らない日には苦労して家と原っぱを往復して水やりをしたり、一生懸命に世話をしたさ。


 そうして出来たのが、このラベンダー畑と、隣で僕のノロケを笑って聞いている美しい僕のお嫁さんってわけさ。信じてくれたかい? 別に信じてくれなくてもいいよ、僕は今幸せだからね。

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