表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/24

第十七回 おしまいの月49日

 おしまいの月49日


 危なかった。水が切れて丸一日。あと一日余分にかかってたら、また行き倒れてたはずだ。集落が発見できてよかった。

 集落に着いてからは、かつてない量の水を浴びるように飲んだ。いや、うまかったね。体にじゅわじゅわ音を立てて浸透していく感じだった。





 今日は集落の雑貨屋に世話になることになった。どこへ行ってもポトロは歓迎されるようだ。みんないやな顔一つしない。とても不思議だ。

 でも、サリサを貸してくれ、あるいは売ってくれという頼みだけはどうしても聞いてもらえない。これもまた不思議なことだ。旅の初めの頃、通り過ぎるサリサに、少し乗せていってもらえないかと聞いたことがあったけど、そのときも返事はンナンナだったし。

 どうやら、ポトロには「歩く」ことが義務付けられているようだ。そのかわり、どこへ行っても歓迎されると。つじつまは合うような気がするけど、なんかやっぱり腑に落ちない。不思議だ。





 店の女主人に、明日のことをたずねてみる。明日は「聖ポトロの日」だったはずだ。お祭りに出かけたり、ミサに参加したりとか、そういうことがあるんだったら、いくらポトロだからとはいえ邪魔するわけにはいかないからね。

 そしたら、明日は昼から、集落の人みんなが井戸の周りに集まるらしい。ふーん。でもその為の準備みたいなの、誰もやってる様子ないなぁ。手の込んだ料理やら歌や踊りなんかでお祝いしないのかな?

 ただ、その女主人も、聖ポトロの日にポトロが立ち会うのはとてもいいと言ってた(縁起が、だと思う)。


 んで、明日が聖ポトロの日で、その次の日がロイロ・ポーラ、始まりの月の一日目になるらしい。


 つまり、聖ポトロの日だけは、()()()()()()()()()()()()()のだ。


 1年は7ロイロで、1ロイロは7カーマ、1カーマは7ガインで、計算すると1年は343ガインということになるけど、聖ポトロの日があるために、1年は344ガインなのだ。

 ホントに不思議なカレンダーだと思う。


 それほど重要な記念日なのに、みんな何の準備もないなんておかしくないか? いや、俺が間違ってるのかな。サバラバ暮らしが板についてきたのか、俺自身何が正しくて、何が間違ってるのか分かんなくなってきてる。このままじゃ、こっちにいても、元の世界に帰ってもおかしくなっちまいそうだ。

 まぁいいや。少し寝よう。きっと疲れてるんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ