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第九十三話 恨み


 海斗「皆お疲れ様」


 日が沈み辺りは薄暗く街の明かりがつき始めたタイミングで調査に向かっていた海斗達は王国へと辿り着く


 東門を抜けて王国へと入ると今回は警備を担当していた他のメンバー達が駆け寄ってくるのが見える


 斉藤「ゆっくりしたいですが今日警備していた人たちに色々と話を聞かないと」


 海斗「あんまり無理しない方がいいんじゃないかな?」


 エナ「私もそうした方が良いと思います……リナとカリータも結構疲れてるみたいですし」


 慣れない事をやったせいか二人とも元気がなく自信が思ってる以上に疲れている様子をみせる


 寺山「斉藤さん達お疲れ様、ひとまずは王宮でゆっくり飯でも食って休んだ方がいいんじゃない?」


 駆け寄ってきた寺山は斉藤を気遣って休むことを提案し斉藤もそうする事に決めて全員が王宮へと向かおうとしているとクシアが駆け寄ってくる


 クシア「海斗、少し良いですか?」


 海斗「どうかしたの?」


 クシア「アリスさんの事で少し相談が」


 海斗「やっぱりこの国にいるのは危ないの?」


 クシア「はい、今夜は王宮に寝泊まりしても良いとは思ってましたが王宮内にダイナ族に恨みを持つ者がいるようなので」


 海斗「むしろいない方がおかしな話だよね……」


 クシア「ですね……今のところバレる可能性はないと思いますがもしもの事を考えてアリスさんは王宮には泊まらない方が良いかもしれません」


 海斗「そうだね、それなら今日も野宿をする感じで良い?」


 クシア「申し訳ありませんがそうした方が良いと思います」


 海斗「俺は良いけどエナは疲れてるからなーなるべく暖かい布団で寝て欲しいかも」


 エナ「海斗、私は今日も野宿で大丈夫だよ」


 そこに二人の会話を聞いていたであろうエナとアスフェアが入ってくる


 海斗「本当に?」


 エナ「本当だよ、信じて」


 アスフェア「あんたと離れたくないんだってよ」


 エナ「もーう///アスフェアの馬鹿……」


 アスフェア(フフッ 初めてエナに馬鹿って言われたきがするわ)


 海斗「了解した(この妖精はエナには甘いよな)」



 クシア「よろしいみたいですね、工藤さんにも一応伝えてはいるので昨日と同じメンバーになると思います」


 海斗「はいよ、日が沈んできたから急がないとね」


 クシア「私は王宮にいるアリスさんを回収して向かいますので海斗とエナは先に行ってもらっても構いませんよ」


 エナ「それじゃ食材とかを買って門の前で待つ事にしようかな」


 クシアと海斗は納得し集合場所を門の前に決めて全員と一旦別れる事にした


 疲れていたリナやカリータは別れた二人に言及する余裕はなく早く休みたいようであり王宮へと向かって行ったのだ


 海斗「少し思ったけどさ……この国の夜って少し暗い感じがするよね」


 斉藤達と別れた海斗とエナは食材を買う為に街を歩いていたのだが以前にいたソルセリやアトラス王国と比べると街の灯りはほとんどないのが分かる


 エナ「多分だけどソルセリとかと比べたら魔法が発達してないからじゃないかな?」


 海斗「逆にあそこは発達しすぎなんじゃないの?」


 エナ「魔法の国だったからね……でも灯りが無いだけでこんなに寂しい感じになるなんて気づかなかったかも……」


 海斗「そうだな……早く食材を買って行こうか」

 

 灯りの少ない街並みは寂しく人の少なさも相まって不気味な雰囲気をさらけ出していたのである


 何とか食材を買った二人は待ち合わせ場所まで行くと同じタイミングで工藤とクシアがフェンリルを連れて現れてアリスもフェンリルの背中に乗っていた


 昨日と同じメンバーは門をでて外へ出ると昨日と同じ森の中へと入っていき全く同じ場所へと辿り着く


 同じ場所には昨日に使った火の魔法などの跡があって分かりやすかったが後をよく見ると何者かが漁ったような跡があるのをこの時誰も気が付かなかったのである


 海斗とアリスは特にやる事がなかったのでエナと工藤の料理を手伝おうとするが包丁もまともに扱えない上に炎の出力も上手く調整できなかった為足手まといとなってしまったのだ


 アスフェア「もーう 余計な事すんじゃないよ!!」


 アリス「アハハー 焦げ焦げになっちゃった」


 炎の出力を失敗してアスフェアとアリスに当たってしまいアスフェアは炎が苦手なのか嫌な顔で海斗を見つめており反対にアリスは楽しそうにしていた


 海斗「ごめんよー……」


 これには素直に謝るしかなく何とも言えない空気となってしまったのである


 クシア「そんなに落ち込まないで下さい人には得意と不得意があるのですから」


 アリス「お料理って難しいんだね」


 海斗「簡単じゃないってのが今日で分かったよ」


 クシア「今日は急だったので余裕がなかったですが明日からは早めに来てエナに教えてもらいながらやるのはどうですか?」


 海斗「簡単なやつでいいから作れるようにはなりたいかなー」


 クシア「そうですか……それなら料理について少しだけ勉強して明日は簡単なのを作ってみましょう」


 アリス「私も一緒に勉強したい」


 クシア「もちろんですよ 海斗はどうですか?」


 海斗「教えて下さい」


 クシア「分かりました、とは言っても私も対した料理は作れないので基礎中の基礎から行きますよ」


 そうしてご飯が出来上がるまでクシアの簡単なお料理講座が始まりアリスと海斗は頑張って聞いていた


 話を聞いていると工藤とエナが現れてご飯を持ってきたのでレッスンを中断し夜飯を食べる事に決める


 美味しそうにご飯を食べる二人を見てエナと工藤は笑顔になってお互いを見つめて笑い合っていた


 そして昨日のように見張りを交代して行う時間になり話し合った結果エナと工藤が先に見張りをする事になり海斗とアリスは二番目にやる事になったのだ


 クシア「今日の山の調査はどうでしたか?」


 エナと工藤が見張りに行った直後にクシアは気になった事を海斗に尋ねる


 海斗「スライムを放っただけだから斉藤さんが疲れたって事ぐらいかなー、クシア達の方はどうだったの?」


 クシア「作戦通りのようですね、私たちのとこは特に何も起きてませんね」


 海斗「結構暇だった感じ?」


 クシア「そうですね、私は直接街の方を歩いたりしてました」


 海斗「マジで平和だったんだね、アリスは何してたの?」


 アリス「それが……」


 クシア「私から話します、今日王宮に泊まらなかった理由は分かりますね?」


 海斗「分かるよ、ダイナ族が恨まれてるしバレないかもしれないけど念には念を入れて野宿にしたんだよね」


 クシア「はい……少し言いづらかったのですが私が今日王宮を歩いてる時に嫌な会話を聞いてしまって」


 海斗「どんなの?」


 クシア「それが側近らしき方がアリスさんを怪しんでいてガノトと雰囲気が似ていると仰られてました」


 アリス「ガノトって人がビスト王国に仕えてたダイナ族の人だよね?」


 クシア「そうです、恐らく間近でダイナ族を見ていたからかアリスさんと同じような雰囲気を感じとったのかもしれませんね」


 海斗「そうだったのか」


 クシア「会話を聞く限りだとかなり恨んでいる様子でしたのでアリスさんを王宮に泊まらせるのは不安だったのです」


 アリス「ごめんなさい……私のわがままで迷惑かけちゃって」


 クシア「そんな事ありません!!マール様にとっても嬉しい事だと思いますしアリスさんはまだわがままなくらいが丁度良いですよ」


 アリス「クシアまで子供扱いするー」


 クシア「フフッ、失礼しました アリスさんは成長していると思いますよ」


 アリス「ありがとう!!」


 海斗「まーこれもガノトって奴が悪いって事だよな」

 

 クシア「極論はそうなりますね」


 アスフェア「それなら明日からアリスはどうするのよ?」


 クシア「その事ですが、明日からはアリスさんは王宮には近付かない事と海斗とずっと一緒に行動してもらいます」


 海斗「えっ!?でも俺明日は王宮で色々と作戦だったりを……」


 クシア「明後日まではスライムが回収できないのでやる事がないですし正直言うと警備がこれ以上増えても意味がありませんから……」


 海斗「なら明日は国をうろついてるだけでいいの?」


 クシア「……異変だったり怪しく感じた場所があれば報告してくだされば後は自由にしてもらって大丈夫ですよ」


 海斗「分かった、もし何かあったらどうすれば良い?」


 クシア「その時は一緒に逃げてこの森に来ると決めておきませんか?」


 海斗「そうならないように心がけるよ」


 アスフェア「クシア、本当にこいつで大丈夫なの?」


 クシア「……少し不安もありますが」


 海斗「なっ!?」


 クシア「不安要素もありますがそれ以上に海斗の事を信頼していますから」


 アスフェア「だそうじゃない 少しは信頼されてきたのかしら?」


 海斗「やかましいわ、第一お前は何で敵を作るような発言ばかりするんだ」


 アスフェア「はー? 褒めたつもりなのに何その言い方 やっぱり馬鹿ね」


 海斗「んだと!?」


 クシア「はぁーもう アリスさんの前でそれは辞めて下さい、悪影響ですよ」


 ホーリアー「良いじゃないですか」


 クシア「聖龍さん!? しかしあんな悪口の言い合いは……」


 ホーリアー「私はあーいうのは好きですよ(何だか懐かしいですね……)」


 クシア「ホーリアーがそう言うのなら……」


 アリス「アハハハハ」


 いつもの喧嘩をホーリアーは優しく見守っているのだか表情はどことなく悲しそうにしていたのをクシアは見ておりホーリアーも過去に色々とあった事が伺える


 そんなこんなで時間が過ぎていき全員が深い眠りについて次の日の朝を迎えたのであった

 

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