第九十二話 調査2
カリータ「なれるのなら今すぐになって下さいよ!!」
衝撃告白をした結果全員が興味津々にしており姿を見たいとせがんでいる
リナ「シドウ先生も言ってましたけどそこまで魔力を上手く扱えるようになったのですね」
エナ「確かにすごいけど……服とかは大丈夫なの?」
海斗「ルーゼさんからは持っといた方が良いっては言われたから一応持ってる……」
斉藤「また秘密ができちゃいましたねー」
海斗「だから言いたくなかったのに……」
斉藤「……すみません ですが姿を変えれるということは作戦の幅が広がるので良い事だと思います」
海斗「寺山とかには知られたくないけど……確かにそうだね」
斉藤「はい……でも本当になれるのですか?」
海斗「ルーゼさんとの特訓中に実際に転換できたから間違いないよ」
カリータ「証拠を見せて下さいよ」
海斗「……別に良いけど」
海斗は渋い顔になって集中する、しばらくすると体が白く輝き始めてあまりの眩しさに全員が目をとじてしまった
輝きが落ち着き目を凝らしてみるとそこには見覚えのある女の子が恥ずかしそうにして立っていたのである
カンナ「…………」
カリータ「カンナですね……」
リナ「カンナーー」
しばらく見ていなかったのかリナはカンナに飛びつきカンナは恥ずかしそうにしている
カンナ「ちょっとリナ……恥ずかしい それに服も落ちちゃう」
エナ「魔力の操作だけでこんな事もできるんだね」
カンナ「魔術の感覚が残ってるなら可能な事もないってルーゼさんが言ってたよ」
カリータ「そうなのですね……」
カンナ「うん……もう戻ってもいい?」
リナ「もう戻っちゃうの?」
斉藤「福田君!!一旦カンナちゃんの状態でいてください」
すぐに戻ろうとする海斗に斉藤は慌てて呼び止めるとカンナはげんなりとした顔で斉藤を見つめる
カンナ「何でよ……」
斉藤「それは勿論敵に怪しまれないようにする為ですよ」
カンナ「でも近接のボディーガード的な感じで俺が着いて行くって……」
斉藤「それとこれとは別です!! それに福田君は顔がバレてるし武器も目立つじゃないですか」
カンナ「でも……」
斉藤「それにリナさんとカリータさんも戻って欲しく無さそうにしてますよ」
カンナ「……分かったよ リナ、カリータ しばらく宜しくね」
エナ(なんか楽しい)
カリータとリナを理由に無理やり理由を作った斉藤に負けたカンナは渋々承諾したのでリナとカリータは嬉しそうにしている
カンナ「それはそうとして作戦があるみたいだけど何をするの?」
斉藤「作戦は単純です、この山の外を一周します」
カンナ「それだけ?」
斉藤「ぐるっと回りつつ怪しい場所がないかを確認する事とできるだけいいですから山の周りにいる魔物を覚えていただければ」
カリータ「確かグランドラビットやスライムが多く生息してるとは側近の方がおっしゃられてましたね」
斉藤「そうですが情報にない魔物や動物もいるかもしれませんので目視で確認をお願いします」
リナ「分かりました」
斉藤「早速取り掛かりましょう、エナさん魔法道具の準備をお願いします」
エナ「分かりました!!」
エナはカンナが背負っていた荷物を降ろしてその中から白くヒラヒラした布を取り出す
カンナ「確かそれは授業で少しだけ扱ったやつだったかな?」
リナ「そうだね、私とカンナがクラスで一番下手くそだったのは覚えてるかも」
カリータ「そんな事ありません……と言いたいですが確かにあれは酷かったようなきがします」
カンナ「何も言い返せないな、補習も受けたし」
リナ「でもそのおかげで扱えるようになって空も飛べるようになったから良かったと思う」
エナ「補習受けてたんだ……知らなかった」
カンナ「先生が丁寧に教えてくれたおかげで上手く扱えるようにはなった……多分」
斉藤「それなら補習の成果を実感するためにカンナさんが魔力で操縦して下さい」
カンナ「了解、任せて」
カンナはエナが用意した白い布の上に乗って魔力を流し込むと不思議なことに布は宙に浮き始める
カンナ「できたよ 皆乗って」
カンナが呼びかけると全員が宙に浮いた布に乗り込んだ
カンナ「このメイスを起点にして回って行けばいいのかな?」
斉藤「はい、この距離を維持しながらお願いします」
エナ「疲れたら正直に言ってね」
リナ「私が変わるよ」
カリータ「途中で眠らないで下さいよ? 授業の時みたいに変な場所に吹っ飛んでいくのは勘弁ですからね?」
カンナ「それは任せといて」
斉藤「フフッ、それではお願いします」
メイスと荷物がある場所を起点にして山の麓から一定の距離を保ってカンナ達を乗せた魔法道具の布はゆっくりと進みはじめたのである
斉藤、カリータ、エナの三人は山の方を観察しリナは三人が見つけた魔物などをメモする役割になり楽しく会話をしながらゆっくりと時間をかけて山を一周したのである
カンナ(そういえばこの魔法道具は元々重力の魔術式が組み込まれてたよな 思ったよりかは魔力も使わなかったしスゲーな)
ゆっくりと回った為か一周するのに4時間ほどかかったがカンナはそれほど疲れてないようであり逆にリナとカンナ以外の3人が集中して観察していたので疲れているようである
カンナ「皆お疲れ様」
エナ「思ったよりも疲れちゃった」
カリータ「遠目から魔物を判別するのは結構難しいですね」
斉藤「これさえ終われば後は大分楽になりますよ!! 私は後一仕事あります」
リナ「斉藤さんに負担をかけて申し訳ないです(魔物の種類が少なすぎて私は結構楽だったかも……)」
斉藤「いえいえ、これも子供達の為ですから リナさんのメモを見せてもらっても宜しいですか?」
斉藤はリナからメモを受け取ると確認できた魔物を見ている
斉藤「グランドラビットやスライムがほとんどでしたがリーフファルコやサンダーマンティスもちょくちょくいるみたいですね……」
斉藤は考えておりしばらくすると
斉藤「無難にスライムを量産する感じが良さそうですね……皆さんはどう思いますか?」
カンナ「斉藤さんが作るスライムの強さが分かんないけど数は多い方が良いと思うからそれでいいんじゃないかな?」
エナ「賛成 まずは広く情報を集めた方が良さそう」
カリータとリナも二人と同じ意見のようなので斉藤は決意する
斉藤「分かりました……魔法でスライムの映像を見るのが大変かもしれませんがそれで行きましょうか」
辺りも暗くなってきたので大量のスライムを送り込んで偵察させる事に決めた斉藤は魔力を集中させる
エナとカリータは斉藤に魔力を分け与えて負担を減らしたおかげか斉藤はそこまで疲れる事なくスライムを大量に生成させる事に成功したのである
斉藤「広さ的に200匹ほどいれば何かしら手掛かりが見つかるはずです」
カンナ「何匹かやられるかもしれないしな」
斉藤「それはそれで構いませんよ、取り敢えず1日放置して明後日スライム達を回収します」
エナ「明日は交代で王国の警備をするんだったよね?」
斉藤「その通りです、暗くなってきたので帰りましょうか」
海斗「疲れてるだろうし皆は俺が運んでいくよ」
斉藤がスライムを生成している間にカンナはいつの間にか元の姿に戻っていたのだ
リナとカリータは残念そうにしていたが仕方ない事だと受け止めて今回は海斗に甘える事にしたのである
海斗が布を引っ張る形でその場を後にして全員無事にビスト王国へと辿り着いたのであった




