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第八十九話 買い物


 海斗「んー……朝か」


 夜は明け木の隙間から朝日が差し込み小鳥の声が響いている


 昨夜は色々とあっていつの間にか寝ており疲労が完全に取れている訳ではないが目覚めた海斗は起き上がる


 海斗「クシアは……昨日遅くまで見張ってくれてたのかな?」


 海斗の隣でクシアがフェンリルに寄り添うようにして寝ており気持ち良さそうにしていたのでそっとしておく事にして朝の支度を始める


 先に起きていたエナと工藤は朝食を作っていたので海斗は使った道具を片付けたりしているとちょうど良い時間になりアリスとクシアが目を覚ます


 全員が揃ったところで軽い朝食を食べて腹を満たすとビスト王国の門へと向かったのである


 海斗「今日こそは大丈夫……だよな?」


 昨日は門前払いをされてしまった為不安になっている


 ホーリアー「大丈夫ですよ、私を信じて下さい」


 自信満々なホーリアーを信頼し門の前まで行くと昨日の門番が出て来る


 門番「お前達は昨日の奴らか」


 海斗「はいそうです」


 門番「…………よし 通って良いぞ」


 門番はしばらくの間海斗を見つめていたが特に何も感じなかった為か通す事に決めたのであった


 エナ「良かったね」


 海斗「本当だよ、ありがとうホーリアー」


 ホーリアー「当然の事をしたまでですよ」


 門を通り抜けて国に入るとそこにはソルセリやアトラス王国とは違った景色が広がっていた


 海斗「おおー、獣人ばかりいるな」


 ビスト王国の九割は耳や尻尾、体毛など何かしらの特徴を持った獣人だけで構成されており滅多に見ない光景に海斗は目を光らせている


 エナ「私も初めて来たけど凄い独特な感じだよね」


 工藤「確かにそうだね、昨日入った時もそうだったけどすごい見られてるのが気になるかも」


 街ゆく獣人達は普通の人間が珍しいのか視線を感じる


 クシア「珍しいですからね、気にしていても仕方ありません」


 海斗「確かにそうだな、それで斉藤さん達とは昼からだったよね?」


 工藤「そうだよ、昼で合ってるよ 朝早く来たのはミラさんだっけ?その人の剣を買う為なんだよね?」


 海斗「うん、大分前だけど壊しちゃったから」


 エナ「せっかくだし良いのを選ばないとね」


 海斗「そうだね、工藤は疲れたりしてない?」

 

 工藤「何とか平気だよ、海斗とエナが良かったら私も一緒に着いていってもいいかな?」


 海斗「むしろ着いてきて欲しいかな、昨日は食材買う為に少しは街をまわったんだよね?」


 工藤「うん」


 エナ「なら工藤と海斗と私は一緒に行動だね、クシアはどうするの?」


 クシア「私は少し眠いので先にアリスさんとフェンリルと共に王宮に行こうと思ってました、アスフェアはどうされますか?」


 アリスも昨日の散歩でまだ眠いようであり今もフェンリルの背中の上でスヤスヤと寝息を立てて寝ているのである


 アスフェア「私も少し疲れてるからクシアと一緒に行こうかな」


 クシア「なら決まりです、工藤さんが場所が分かるようなのでここで解散して昼に集合ですね」


 クシアの言葉に全員頷くとクシアはフェンリルとアスフェアと共に大通りへと消えていった


 海斗「それじゃ俺達も行こうか」


 エナ「そうだね、工藤はどこら辺で武器売ってたか覚えてる?」


 工藤「えーっと 確か向こうの方だった気がする」


 エナ「ならそこに行こう!!」


 工藤が指差した方向は人気の多そうで賑わっているのが分かる


 進んでいくと通りすがりの獣人の視線が気になるエナと工藤は恥ずかしそうに顔を隠したりする反面海斗はあっけらかんとしている


 海斗「えーと あそこに剣が売ってあるな」


 見渡すとお店があり海斗はそこへと入っていき二人も後に続いて行った


 武器屋の店主「いらっしゃい、人間とは珍しいな」


 店に入ると明るいオーラを放つ獣人が声をかけてきて三人をじっくりと観察する


 海斗「そんなに珍しいのか」


 店主「あたりめーよ この国にも人間は何人かいるが見たところお前さん達はよそ者だろ?」


 工藤「やっぱり分かるんですね」


 店主「何たって俺は鼻が良いからな、特に可愛いお嬢ちゃん二人からは都会の匂いがぷんぷんするぜ」


 エナ「少し恥ずかしいかも///」


 工藤「だね」


 店主「せっかくきてくれたんだ ゆっくりしていきな」


 海斗「そうとは言っても色々と見て回りたいからなー、武器はここ以外では売ってたりするの?」


 店主「残念だが武器を取り扱ってるのはここだけなんだ、他は防具やお守りくらいしかないぜ」


 海斗「そうなのか」


 店主「最近のビスト王国は色々問題があるからな 前まではたくさんあった武器屋も潰れちまったよ」


 海斗「大変なのは知ってます(そういやクシアがこの国は貧しいって言ってたな……)」


 店主「まーね、それでどんな武器がいるんだい?見たところ兄ちゃんはでかいのを持ってるからそこの嬢ちゃん達の武器を買うのかな?」


 工藤「いえ、私達のではないです」


 エナ「そうですね、私達と同じ年の女の子にプレゼントしようと思ってまして」


 店主「おー 兄ちゃんは彼女が三人もいるのかい?」


 エナ「彼女は私です!!」


 店主「おーう……すまないね」


 海斗「ははは……とりあえずこの店で一番良いやつをくれよ」


 店主「剣で良いのか?」


 海斗「うん」


 店主「とは言っても色々あるぞ、軽さを重視したものだったり切れ味だったりと」


 海斗「それ含めて最高の物はある? 金は問題ないから女の子でも扱いやすくて何か凄い性能のがいいかな」


 工藤(語彙力が……)


 店主「そうだな……これはどうだ?」


 しばらく悩んだ後に店主はとっておきと言わんばかりの顔で薄い緑色の剣を海斗に差し出す


 店主「この剣には風の魔術式が組み込まれているから軽い上に切れ味も抜群な代物だぞ」


 工藤「それって相当凄い代物ではないですか!!」


 海斗「? そんなにすげーのか?」


 工藤は今までに聞いた事ないほどの声で話しているので相当凄いという事が伝わってくる


 工藤「そうだよ!!武器に魔術式を組み込むには神経を擦り減らして製作しないと属性が付与されないってソルセリで習ったよ」


 エナ「そうだね、ほとんどは失敗して特性を得られない事が多いからその風の魔術式が組み込まれてるのは相当凄い職人の人が作ったんじゃないかな?」


 店主「嬢ちゃん達詳しいな、この剣はジュエリーナの技術を使って作られたみたいだぞ」


 海斗「でもジュエリーナとビスト王国はそんなに友好的じゃないって聞いたけど」


 店主「それはそうだが古い知り合いがいてそいつに譲ってもらったのさ」


 エナ「個人の繋がりはあるという事ですね」


 店主「まーな、だが今のジュエリーナはこんな武器が量産されていると噂があるぞ 詳しくは知らんがな」


 工藤「嘘でしょ……これを量産してるって……」


 店主「あくまでも噂だから信頼はできんぞ、そんな事よりもこの剣を買うのかい?」


 海斗「そういやミラは風の魔法使えたかな?」


 店主「性能を全て引き出すなら使えるに越したことはないが切れ味と軽さを重視するなら間違いないぞ、持ってみるといい」


 店主は自信満々になって剣を海斗に渡す


 海斗「確かに軽いな 何も持ってないみたいだ」


 工藤「海斗は馬鹿でかい武器を持ってるから当たり前だよ 私に貸して!!」


 エナ「確かにそうだね、私と工藤が軽いって感じたらそれを買ってもいいんじゃない?」


 海斗「それもそうか」


 エナ「アスフェアだったら絶対に何か言ってたよ」


 海斗「はは 絶対に突っかかってきただろうな」


 工藤「エナも持ってみてよ 私は扱いやすいと思った」


 話している途中で工藤が割り込んでエナに剣を渡す


 エナ「そうだね、重さは問題ないと思うよ」


 海斗「なら決まりだな、店主これをくれ 金はいくらくらいだ?」


 店主「20ゴールドでいいぞ」


 海斗「了解(思ったよりも安いな)」


 自身の影の中からお金の袋を取り出して店主に渡す


 エナ(そういえばそんな能力持ってたね)


 店主「毎度あり この国は色々と問題があるがゆっくりしていってくれなー(不思議な連中だ)」


 最後まで元気よく見送ってくれた店主に温もりを感じながら海斗達はお店をでる


 海斗「用事は終わったしこれからどうしようか」


 工藤「そうだねー少し早いけどお昼ご飯とかは?」


 エナ「賛成!!ここが一番賑わってるみたいだし今から済ませて王宮に歩いて行けば丁度いい時間になるんじゃないかな?」


 工藤「時間の余裕はあったほうがいいからそれで良いと思う」


 海斗「よし!!そうするか」


 少し早めの昼ごはんを食べる事に決めた三人はお店を探していると丁度よく獣人がたくさん出入りしている場所があったため近くの獣人に訪ねるとそこがこの国唯一の食事できるお店とのことだった


 海斗(さっきから店とかが少ない感じがするな、国なのにセルク村とかと変わらない感じがするのは気のせいか?)


 しかし今はそんな事を考えていても仕方がないので美味しそうな匂いに惹かれながら三人はお店へと入って行ったのである


 

 

 


 


 


 

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