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第八十六話 聖龍の過去

エナ「海斗、アリスちゃん 交代の時間だよー」


 海斗とアリスは焚き火をして見張りをしているところにエナと工藤が入ってくる


 海斗「早いね もうそんな時間だっけ?」


 工藤「そうだよー(本当は遅れてるんだけど……)」


 クシア達との話に夢中になってしまった二人は1時間を少し過ぎてしまったのだが海斗とお兄ちゃんアリスはそこまで気にしていないようである


 海斗「了解 アリス、向こうでゆっくりしようか」


 アリス「はーい」


 海斗「エナと工藤も気をつけてねー」


 海斗は可愛らしく返事をしたアリスと共にクシア達が火を焚いている場所の方向へと歩いていった


 明るい場所へ歩いていくと近づくにつれてエナと工藤が作った美味そうな料理の匂いが強くなってくる


 場所へ辿り着くとクシアとアスフェアが笑顔で迎えてくれて小腹が空いている二人は残っているご飯を食べ始めた


 アスフェア「二人共よく食べるわねー」


 海斗「残したらエナと工藤が落ち込んじゃうだろ?」


 アスフェア「それもそうね」


 クシア「アリスさんも以前よりも明るくなって何よりですよ」


 アリス「えへへ ありがとう やっぱりエナお姉ちゃんのご飯は美味しいね」


 海斗「だろ」


 


 クシアとアスフェアは二人を見守って全て完食してからしばらく置いて海斗は気になっていた事をクシアに尋ねる


 海斗「今更なんだけどマッシュとミラは何で王国に用があったのかは聞いたの?」


 クシア「二人は依頼を受けにいく途中だったそうで私達とは偶然出会ったみたいです」


 海斗「偶然だったのか 人は多い方が良いだろうし手伝ってはくれないのかな?」


 クシア「その事ですが二人とも私達と同じで異世界の勇者と共に王国を助けるように依頼を受けたようなのでしばらくは一緒になりそうですよ」


 海斗「まじで!? あいつらは俺とかが異世界の勇者だって知ってるの?」


 クシア「その事についてはマッシュさんがかなり驚いてましたよ、ミラさんは元々怪しく感じていたみたいです 後は折れた剣に関して色々と文句があると……」


 海斗「そういやそうだったな」


 アスフェア「あんたの扱い方が下手くそなのよ」


 海斗「それは……そうだな 金はあるから新しくて鋭い奴を買って渡すしかないな」


 アスフェア「そうね めちゃくちゃいいのを買ってあげないと」


 海斗「王国の方にあるかなー? もしなかったらこれをやるか?」


 海斗は真横にあるメイスを持って冗談半分に言う


 アスフェア「それは流石にミラじゃ持ちきれないわよ」


 海斗「冗談だよ……でもこの武器のせいで俺は王国に入れなくなってるよな、別にここら辺に置いていけば問題ないんだけど」


 そしてこれらの様子を見ていたクシアは思い出したような表情を浮かべて


 クシア「そういえばその武器について少しだけ説明できるかもしれません」


 海斗「この武器の? 確かガレオスて人のだったよな?」


 アリス「その武器重くて使いにくそうに見えるかも」


 海斗「アリスなら持てるんじゃないか?」

 

 海斗はメイスを手に持ってアリスに渡す


 アリスは手に持って受け取るがかなり重そうにしている


 アリス「重たい……」


 海斗「アリスでも重たく感じるのか」


 アリス「うん」


 クシア「恐らくですがその武器には何かしらの能力がひめられているかもしれません」


 海斗「それってどういう事?」

 

 クシア「少し待ってて下さいね」


 そう言うとクシアは両手を胸に当てて集中すると全身が光に包まれて白く輝く


 あまりの眩しさに目を閉じてしまうがゆっくりと目を開けるとそこには小さいがアスフェアよりも少し大きい程度の生き物が飛んでいる


 海斗「何だこいつ? 空飛ぶトカゲか?」


 ?「この私をトカゲ呼ばわりとは長年生きてきてあなたが二人目ですよ」


 アリス「しゃ……」


 海斗「喋ったー!?」


 突如喋り出した生き物にアリスと海斗はかなり驚いている


 クシア「そういえばアリスさんにはまだ言ってませんでしたね この方が聖龍ホーリアーですよ」


 アリス「この小さい子が聖龍さんなんだ 小さくなってるから全然分からなかった」


 海斗「コイツがあのザンギャグロスの本当の中身か」


 ホーリアー「そのダサい名前で呼ばないで下さい 私はホーリアーです」


 海斗(操られてたとはいえ何かきまづいな)


 海斗は一度殺しかけた相手が目の前にいるので複雑は感情を抱いている


 ホーリアー「ダイナ族のアリスといいましたか? 私を助ける手助けをして頂き感謝いたします」


 アリス「それは海斗お兄ちゃんのおかげだよ 私は助けを求める声が聞こえたからそれに従っただけだし本当に助けてくれたのはマールお姉ちゃんとクシアだから」


 ホーリアー「本当に感謝しています それでガレオスの武器を持ったそこの者が暴走した私を抑えてくれたのも分かっています」


 海斗「……ローゼンが入り込んだりして色々と大変だったけど俺もあんたの声は聞こえてたよ」


 ホーリアー「それも分かっています もし私があのまま暴走していたのなら止めを指すつもりだったのでしょう?」


 海斗「……ごめんなさい 放っておくと被害が大きくなると思ったから」


 ホーリアー「いいえ それで良かったのです 私が人の血に染まるくらいなら 殺してしまった方が犠牲は少なくて済むのは誰にでも分かる事でしょう?」


 海斗「それもそうか……ところであんたはこの武器の持ち主のガレオスって人に討伐されたんだっけ? その人かこの武器については知ってるの?」


 ホーリアー「知ってるも何もその男とは相棒のような関係でしたからね 知らない事はほとんどありませんよ」


 海斗「過去に何かあったんだな」


 ホーリアー「そうですね 少し長くなりますがそれでも聞きますか?」


 海斗「頼む」


 クシア「私からも是非お願いします」


 ホーリアー「分かりました、今から数千年前に大きな戦争が起きたのはご存知でしょうか?」


 海斗「ダイナ族、魔神族、龍族が戦争してたってやつ?」


 ホーリアー「それよりも後の話ですね その時代の私はまだ子供でしたから」


 海斗「長生きなんだな」


 ホーリアー「その内何百年かは封印されてましたから龍族からしたら大した事はないですよ」


 海斗「そうなのか あんたは人を助けてたって歴史の教科書にのってたぜ」


 ホーリアー「そうですね、それは確か500年程前の事です、私はガレオスと共に世界各地を回って種族を問わずに人助けをしていました」


 クシア「その時代は人と魔族が増え始めた頃ですね」


 ホーリアー「そうです 魔神と龍族、ダイナ族の戦争が終わりそのほとんどが居なくなりましたが戦争の被害が大きく助けを求める人が多かったのです」


 海斗「……戦争してたんだろ? 龍のあんたは人間の恨みをかってたんじゃないのか?」


 ホーリアー「だからこそですよ 私達より後の人に少しでもマシな世界で生きていて欲しかったから私はできる事をやったのです」


 海斗「そうか……何で戦争してたのか分からないけど全員があんたみたいに優しかったらそんな事は起きてなかったんだろうな」


 ホーリアー「ガレオスと全く同じ事を言うのですね……やはりあなたは似ています」


 アスフェア「でもあんたは歴史だとその人に倒されたのよね? 何かあったの?」

 

 ホーリアー「簡潔に言うと魔神族の生き残りと邪悪な心を持つ人間によって罠にはめられて強力な反転魔術をかけられたのです」


 海斗「それで人を癒す力のはずが蝕む力になったってやつか」


 ホーリアー「そうです、そして私は最後の力を振り絞って彼に伝えました……私を殺して下さいと」

 

 クシア「龍を倒したとされているガレオスの過去にそんな事があったなんて……」


 ホーリアー「結果として多大な環境を荒らすことになりましたが封印という形で私を討伐してくれたのです」


 クシア「そしてその地がソルセリになったのですね」


 アスフェア「かつての相棒だったあんたを殺すなんてできなかったって事なの?」


 ホーリアー「さー それは分かりません……ただ彼は「いつかはお前の魔術を解いてくれる者が現れる その時はそいつらの力になれと」と最後に言い残していきました」


 海斗「あんたにかけられてた魔術って相当なものだったんだな」


 ホーリアー「恐らくですがあのマールという方は魔神族の末裔なのでしょうね、それに加えて天使の力とあなた方が私を極限まで弱らせてくれた事によってできた事ですよ」


 クシア「魔神族の魔術は魔神族にしか解くことができないという事ですか」


 海斗「そういう事か、俺も初めて戦った時からただの魔族じゃないとは思ってたけど」


 クシア「そうですね……」


 ホーリアー「その方を詳しく見てないので何ともいえません……しかしその武器で殴られる日が再び来るとは思っていませんでしたよ」


 海斗「それであんたはこの武器について何か詳しく知ってる事はあるのですか?」


 ホーリアー「…………今の私が言える事はその武器に彼の聖なる魔力と私の長年蓄積された瘴気が混合し未知なる魔力が生まれているということです」


 アスフェア「でもあんたがそれをとった時に瘴気が無くなったわよね?」


 海斗「もしかしてだけど これってかなり体に悪いやつ?」


 ホーリアー「それは分かりません……しかし貴方の体にその魔力が吸収されたというのは感じとれます」


 海斗「少し違和感があると思ったけどそれが原因なのかな?」


 アスフェア「大丈夫なのあんた!?」


 ホーリアー「あなたは普通の人の何十倍も丈夫で強い耐性をもってるようですから心配はないでしょう」


 海斗「でも王国の人はこの武器を見て警戒してた」


 ホーリアー「きっと獣人で感覚が鋭いので敏感に感じ取っているのでしょうね、少し待ってて下さい」


 ホーリアーは集中すると魔力が集まり出だして輝くと海斗の目の前に大きな鞘が出現する


 海斗「これは?」


 ホーリアー「その武器から漏れる異質な魔力を収めるものですよ、それをつければ多分大丈夫だと思います」


 海斗「そうなのか、ありがとうこれで国に入れそうだよ」


 ホーリアー「このくらいどうって事ありませんよ 私は貴方達に着いていくと決めたのですから」


 海斗「こちらもあんたがいてくれて心強いよ」


 ホーリアー「他の龍族に比べたら戦う力など微々たるものですが傷を癒す事に関してはお任せ下さい!!……かなり時間が経ってしまったようですねそろそろ交代の時間ではないでしょうか?」


 クシア「そのようですね 次は私とホーリアーで見張りをするので皆さんはゆっくりしておいてくださいね」


 ホーリアー「参りましょう」


 海斗(結局武器についてはよく分からなかったな、まあいっか)


 アリス「また眠くなってきちゃった……」


 海斗「今日は疲れたもんな……よし!!親友の子守唄を吹いてやるよ」

 

 クシアとホーリアーはそう言い残してエナと工藤がいる方向へと歩いていき海斗は眠そうにしているアリスに対して口笛でとある親友の子守唄を吹いてその音が森の中へと響いていた


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