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第八十話 和平の為に


 マルクの見せかけの処刑は終了しこれからは代理でマールがソルセリの王になる事が決まりマルクは公では死んだ事になって存在しない人間となったのである


 海斗「何とか上手くいったみたいだな」


 マルク「リナさん お疲れ様でした」


 マールが国民に対して話している裏では処刑の幻を見せていたたリナはあまり良くない表情をしていた


 リナ「うん……」


 リナは初めて人の死というのをイメージしたからなのか気分が悪そうであり海斗とマルクは心配してリナに寄り添いながら建物の中へと入っていった


 広い建物の中に入るとマールを除いた主要メンバーが集まって待機しておりその中にはパックもいたので二人に寄り添っているリナを見て複雑な顔をしていたのだがその視線を感じとった海斗とマルクはリナをパックの元へと連れていきそれぞれの場所でマールを待つ事にした


 時間まで海斗はエナと一緒に話していると斉藤を中心とした海斗のクラスメイトが話しかけてくる


 海斗「みんな揃ってどうしたの?」

 

 斉藤「福田君、色々と聞きたい事があるんだけど、いいかな?」


 海斗「何か気になる事が?(嫌な予感が……)」


 複雑そうな顔をした斉藤の表情を見た海斗の予感は当たり今日までまともに話せなかった分のあらゆる質問が飛んできたのである


 斉藤や工藤の女子からはカンナとなって潜入していた事についてや寺山や溝上などの男子からは競技祭での事や女になって犯罪まがいの事をやってないかなどの質問を飛ばしている


 海斗「ごめん……でもお前らが来るなんて知らなかったし」


 話を聞いていくとお互いに何も知らなかったがジックやソルセリの事を調べるというのは共通の目的だったようなのだが色々と噛み合わない部分があり上手くいかなかった事が伺える


 海斗(こんな事になるんならリゼルの奴が俺たちに言ってくれた方が良かったじゃないか、というよりマルクの奴が思ったよりもいい奴だったしカンナになる必要はなかっただろ)


 そんな風に思う海斗だったが全て正直に伝えると海斗が反対するのをリゼルは薄々感じていたのである


 色々と文句を言いたくなる海斗ではあったがそんな事よりもクラスメイトには一番聞きたい事が一つあった事を思い出す


 海斗「そういえば他のみんなはどうしてるの?それと亜紀と絵美と武は無事なの?」


 これには全員が少し気まずそうにしているが斉藤が先にゆっくりと口を開く


 斉藤「福田君が居なくなった後に私たちのクラスは大きく二つに別れたのですよ」


 海斗「まさか……対立してしまったのか!!」


 斉藤「何を言ってるのですか……」


 海斗「ん?」


 斉藤「もーう……」


 大きな勘違いをする海斗き工藤や寺山達はクスッと笑っているとクシアも話に入り込んでくる


 クシア「私も色々と聞きたい事があります」


 斉藤「分かりました、1から説明しますと福田君達が居なくなってしばらく経ってアトラス王国が私達の存在を発表したのですよ」


 クシア「それなら私たちも知っていました」


 海斗「うん」


 斉藤「そうだったのですか」


 海斗「二つに別れたってどういう事なの?」


 斉藤「その事なんですが私達は天使から見て実力の違いで二つに分けられたのです」


 クシア「?そんな話は聞いた事なかったのですが……」


 海斗「そんな事して何になるんだよ」


 斉藤「落ち着いて」


 工藤「簡単に言うと魔族領の問題を解決する人と人間領の問題を解決する人達で別れたの」


 海斗「それで工藤達の魔法組はジックを調べるためにここに来てたって訳か」


 斉藤「そういう事です、私達以外の人もそれぞれの場所で戦っているんです」


 海斗「そうなんだ……それと今更なんだけど亜紀のやつは大丈夫なのか?」


 海斗が申し訳なさそうに亜紀の名前を出すとクラスメイトは今のエナと海斗の関係を見て難しそうな顔をしているが同じパーティメンバーであった山下が口を開く


 山下「その事なんだけど……亜紀ちゃん凄く落ち込んでた」


 海斗「そうなのか……」


 山下「うん……ずーっと「自分のせいだ……」って言っててそれ以来無茶な特訓をするようになってしまったの」


 海斗「あいつ……」


 クシア「亜紀さん……」


 海斗「でも俺はこうして元気になったし亜紀にはそんなに気にするなって伝えにいくしかないか(ちょう痛かったけどな)」


 工藤「それは難しいと思う」


 海斗「何で?」


 山下「さっき二つに別れたって話をしたと思うけど亜紀ちゃんは魔族側の方に行っちゃったから」


 クシア「あちらの方が危険なのに……」


 工藤「そうですね……橘委員長や絵美さんと武君達がいるから大丈夫だと思うけど心配です」


 海斗(話から推測する感じだと魔族側の方が危険で超強い委員長達がそっち行っててこっち側がまだ安全って感じなのかな?……だとしたらあの馬鹿野郎何でそんな場所に行ったんだ)


 山下「これは止められなかった私達も責任があると思う」


 工藤「うん……」


 海斗「そんなに心配する事ないよ だってとんでもなく強いあいつらと一緒なんだろ?きっと大丈夫だよ」


 工藤「そうだよね 委員長達がいるから大丈夫だよね」


 クシア「橘様達を信じるしかありませんね」


 エナ(亜紀って人は女の子なのかな? 海斗とどんな関係なんだろう)


 話を聞くだけしかできなかったエナは心の中が少しだけモヤついているのだが海斗はそれを知る由もなかったのである



 海斗「とにかくあいつらを信じて今は俺たちにやれる事をやるしかないよな」


 この言葉に全員が頷き今の自分達にできる事をやると改めて決意しマールを待つ事にした


 エナも合わせて色んな事をクラスメイトと話しているとマールが部屋へと入ってきたので全員が注目する


 マール「皆ご苦労だったわね」


 斉藤「いいえ あなたの方が大変だったはずです」


 マール「そうかもしれないけど本当に大変なのはこれからよ」


 海斗「それで俺たちはこれからどうするんだ?」


 マール「リゼルからの指示で貴方達はビスト王国に行く者とここでの復興作業をする者に別れてもらいます」


 斉藤「分かりました、それで誰がどこに行くのでしょうか?」


 マール「それもすでに決まっているわ、貴方、工藤、寺山、溝上、海斗、エナ、クシア、カリータ、リナ、アリスの十名はビスト王国に向かってもらうつもりよ」


 全員がこの言葉を聞いていたのだがカリータとリナが一番驚いた顔をしている


 カリータ「私とリナがビスト王国に?」


 マール「ええそうよ 何かあるのかしら?」


 リナ「いえ……でも私達の実力なんかで大丈夫なのですか?」


 マール「そんな事はないわ、貴方達二人の力も必要なの」


 二人は色々と思う事があり黙り込むが覚悟を決め自信を持った表情で返事をした


 マール「頼むわよ」


 海斗「俺も気になったんだがアリスも一緒に行くのか?」


 マール「それは後でアリスから聞いてちょうだい、今さっき呼ばれなかった人はソルセリの復興とジュエリーナの様子見に行ってもらいます」


 海斗「…………」


 斉藤「私達がそれぞれの場所にいく事は分かりましたが目的は何なのですか?」


 マール「……こんなに質問されると頭が回らなくなるわね……」


 少し疲れ気味なマールを助けるようにしてジュエリーナのカネリア王女とナイトが話に入ってくる


 カネリア「途中で失礼します、これからあなた達にはビスト王国とジュエリーナの関係を良くしてもらいたいのです」


 海斗「そう言えばそんなに仲良くないって言ってたな」


 カネリア「仰る通りで心苦しいですがジュエリーナとビスト王国は何代もの前の王から差別が酷く良好な関係ではありません……しかし私はジュエリーナの王女としてビスト王国とは和平の道を歩んでいきたいのです!!」


 海斗「そっか……それがあんたの望んでる事なんだな」


 王女をあんた呼ばわりした海斗にサフィアが酷く睨みつけているがルビーが慌てて抑える


 カネリア「そうです、しかし私だけでは何の力もありません!!貴方達の力を是非貸していただきたいのです」


 真剣に訴えるカネリア王女に全員が心を打たれビスト王国とジュエリーナ王国の和平の道を成功させる事を心に誓ったのであった

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